都内の桜の花もほころび始めてきました。皆さんお元気でいらっしゃいましたか?
 いや、本当に、皆さんのご健康を案じざるをえないこの頃です。なぜなら世の中は、狂牛病にはじまり、鯉ヘルペス、鶏インフルエンザ、おまけに豚コレラですからね。

 さらに、野菜はどうかといえば、中国からの輸入野菜は、使用禁止農薬が使われ、殺菌処理は放射線殺菌と聞いては開いた口がふさがりません。
 本当にお元気でしたでしょうか?
 では、気を取り直して、前号の続きと参りましょう。

 前号では「社会人・職業人の能力開発とは、一体どんな能力を開発しなければならないのか」ということで、「コンセプチュアル・スキル」、「ヒューマン・スキル」、「テクニカル・スキル」などの概念を簡単にご紹介しました。今回はもう少しだけ詳しく述べてみましょう。

 まずは、便宜上、「テクニカル・スキル」から。
 これは、特定業務をこなすための専門能力のことですね。「営業」という仕事を例にご説明しますと、営業の専門能力とは、「アポイントをとって見込み客を訪問し、商談を行い、クロージング(契約締結)に持っていく一連の能力」ということになります。

 また、「経理」でしたら、「出納帳をつけたり、仕訳をしたりする能力」です。ベテランや役付きになれば「財務会計と管理会計の違いがわかり、それを月次決算や期末決算に反映できる能力」となります。

 次に、このテクニカル・スキルをどうやって習得するかを考えてみます。「営業」なら、会社に入ってその部署に配属され、実務を通して習得する方法が一般的だと思います。
 経理の場合なら、いきなり実務で習得する方法もありますが、多くは簿記検定(場合によっては税理士、会計士)を取得してから実務に携わることの方が多いでしょう。

 ところで皆さんは、弁護士や会計士をはじめ、色んな国家資格や、民間資格があることをご存じですね。「資格」というのは殆ど、実は、この「テクニカル・スキル」の習得を目指しているのです。
 もちろんのことですが、テクニカル・スキルは重要です。しかし、それだけでは、より上を目指す職業人にとって、必要条件にはなりえても、十分条件にはなりえない現実があります。

 さて、次号では、テクニカル・スキル以外のスキル・能力について述べていきましょう。
 皆さん、それまで、是が非でも、どうかお達者で!

(C)酒井美智雄