「話し合いがうまくなる!|話し方教室が教える”聞き方・伝え方・まとめ方”の基本」(じっくり教養 話し方教室東京)

「話し合いをしても、なかなか意見がまとまらない」「自分の考えを伝えると相手と対立してしまう」「相手の話を聞いているうちに、何を決める話だったのか分からなくなる」
職場の会議、上司と部下の面談、家族や友人との相談など、私たちは日常的にさまざまな「話し合い」をしています。しかし、その話し合いが、なかなかうまくいかないと悩んでいる人が少なくありません。
今回は、話し合いをうまく進めるためのコミュニケーションのコツを解説します。
1.話し合いがうまくなる「聞き方」の基本
話し合いというと、「何を言えば相手を説得できるか」を考える人が少なくありません。しかし、本当に重要なのは、その前段階です。まず相手を理解すること。そのために必要になるのが傾聴力です。
相手の話を遮らず最後まで聞く
話し合いでよく起こる失敗が、相手の話を途中で遮ってしまうことです。「いや、それは違います」「でも、こちらにも事情があります」「それより問題なのは……」
このように途中で反論すると、相手は「自分の話を聞いてもらえない」と感じます。すると、自分の意見をさらに強く主張するようになり、話し合いは対話ではなく「言い合い」になってしまいます。
まずは相手の話を最後まで聞くことです。そして、「なるほど」「そういう考えなのですね」と受け止めます。受け止めることは、同意することではありません。
相手の意見に賛成できなくても、「あなたがそう考えていることは理解しました」という姿勢を示すことが大事です。この傾聴の姿勢が、建設的なコミュニケーションの土台になります。
質問と共感で「相手理解」を深める
話し合いでは、相手の言葉を表面的に聞くだけでは不十分です。「なぜそう考えるのか」まで理解する必要があります。そこで役立つのが質問力です。
「そう考えた理由を教えてもらえますか」「一番心配していることは何ですか」「具体的には、どの部分が問題だと思いますか」
このようなオープンクエスチョンを使えば、相手の考えや本音を引き出しやすくなります。さらに、「それは心配になりますね」「その点を大切にしているのですね」と共感を示すことも重要です。
話し合いの目的は、相手を言い負かすことではありません。お互いを理解し、より良い答えを探すことにあるのです。
2.話し合いがうまくなる「伝え方」の基本
相手の話を十分に聞いたら、次は自分の考えを伝えます。ここで重要なのが、感情のまま話すのではなく、相手が理解しやすい形に整理して伝えることです。
簡潔明瞭に分かりやすく伝える
話し合いでは、自分の意見を簡潔に伝えることが重要です。基本は、結論 → 理由 → 具体例の順番です。例えば会議なら、「私はA案がよいと思います。理由は、現在の人員でも実行できるからです。例えばA案なら、既存のチーム編成を変えずに来月から開始できます」と伝えます。
最初に結論を示すことで、聞き手は「この人は何を言いたいのか」を理解できます。そのうえで理由と具体例を加えれば、意見の説得力も高まります。
話し合いでは「たくさん話すこと」よりも、要点を整理して分かりやすく話すことが大切です。
相手を否定せずに意見を伝える
意見が違うときほど、言葉選びに注意が必要です。「あなたは間違っている」「その考え方ではダメです」と言えば、相手は自分自身を否定されたように感じます。
そこで有効なのが、**Iメッセージ(アイメッセージ)**です。「あなたの考えはおかしい」ではなく、「私は、この点が少し心配です」と伝えます。
また、いきなり反論するのではなく、「なるほど。その考え方もありますね。そのうえで、私は別の方法も検討したいと思っています」と、一度相手の意見を受け止めてから自分の考えを伝えことです。
相手を尊重しながら、自分の意見も率直に伝える。これが話し合いに必要なコミュニケーションです。
3.話し合いがうまくなる「合意形成」の基本
話し合いでは、双方が十分に意見を述べても、それだけでは終わっては価値がありません。そこで最後に必要になるのが、意見を整理し、共通点を見つけ、合意形成につなげることです。
「一致していること、していないこと」を整理する
意見が対立したとき、「どちらが正しいか」だけを考えると議論は行き詰まります。そこで、「目的については一致していますね」「違っているのは、実現方法の部分ですね」と整理してみます。
例えば、Aさんは「品質を優先したい」、Bさんは「納期を守りたい」と主張していても、「プロジェクトを成功させたい」という目的は共通しているはずです。
共通点を確認したうえで相違点を整理すると、対立していた二人が「一緒に解決策を探す」ようになります。これが建設的な話し合いのポイントです。
「決まったこと、次にすること」を確認する
良い話し合いは、「話して終わり」ではありません。最後に、「では、今日決まったことを確認しましょう」「次回までに誰が何をしますか」「いつまでに実施しますか」と確認します。
特に仕事の話し合いなら、誰が・何を・いつまでに行うのかを明確にすることが重要です。
また、完全に意見が一致しなくても構いません。「今日はここまで合意できた」「この点については次回もう一度検討する」と整理すればよいのです。そうすることで、話し合いは着実に前進します。
話し方教室・専門家の視点/酒井学院長の一言
“話し合い上手”という言葉があるのなら、その人とは「話す人」ではなく「対話できる人」です。決して、自分の意見を押し通す人ではないでしょう。
その話し合いで重要になるのが、傾聴して相手を理解すること。分かりやすく伝えること。そして双方の意見を整理して合意形成につなげることです。
話し合いは「勝ち負け」を決める場ではなく、お互いの考えを持ち寄り、より良い答えを一緒につくる場である、という認識を忘れてはなりません。
まずは、相手が話している途中で反論せず、最後まで聞くことから始めてみてください。それだけでも、職場や家庭でのコミュニケーションは大きく変わっていくに違いありません。
日本コミュニケーション学院 創設者・学院総長 酒井美智雄
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