「ネガティブな話題を話し合う時のコミュニケーションの基本|話し方教室が解説」(じっくり教養 話し方教室東京)

職場でも家庭でも、人間関係の中では「不満」「課題」「改善」「指摘」「衝突」などのネガティブな話題を避けられない瞬間があります。そんな時、多くの人は感情的になってしまったり、相手を攻撃したり、逆に黙り込んで何も言えなくなってしまうものです。
実は、ネガティブなテーマこそ、話し方次第で「信頼を深める対話」になり得るのです。ネガティブな対話は“問題を共有し解決に進むプロセス”であり、関係を断絶させる作業では決してないのです。
今回は、ネガティブな話題を扱う際に意識したいコミュニケーションの基本を解説します。
1.感情をぶつけずに事実ベースで話す
ネガティブな話題のとき、最も問題が起こるケースは「感情を相手にぶつけてしまうこと」です。怒り・不満・焦りがそのまま言葉に乗ると、相手は防御的になり、建設的な会話ではなく対立構造が生まれてしまいます。
そこで、まずは、感情ではなく「事実」に基づき話す姿勢が重要になります。
具体的行動を指摘する
「あなたはよく仕事が遅れる」ではなく、「昨日の会議の議事録が期限である今朝までに共有されなかった」と伝えるべきです。主観的表現を避けて、検証可能な出来事に焦点を当てることが肝心です。
感情を“説明する”
感情を抑え込む必要はありませんが、「感情にまかせて言う」のはいただけません。そうではなく「感じた」ことをを説明することが大切です。たとえば、「連絡がなかったことで、私はプロジェクトが遅れてしまう不安を感じたよ」と。
2.相手を尊重し攻撃的表現を避ける
ネガティブな話題では、相手の人格を否定するような言い方をすると信頼が失われます。コミュニケーションの目的は「相手をやり込める」ことではなく「改善と合意形成」にあるはずです。そのためには、相手を尊重する表現を選択することが不可欠になります。
非難ではなく「提案」する
「なぜやらなかったのか?」ではなく、「次から共有のタイミングを決めませんか?」と伝える方がよいでしょう。攻める言い方は相手を萎縮させ、対等な議論を妨げるからです。
“私”を主語にする(Iメッセージで伝える)
「あなたは遅い」 というよりも、「私はプロジェクト進行に影響が出てしまうのではないかと心配している」というべきでしょう。これなら、相手の人格を攻撃せずに、問題を共有できます。
3.解決策は両者が合意できるものを
ネガティブな話題は「問題の理解」と「解決策の合意」がゴールです。しかし実際は、自分の結論だけを押し付けてしまいがちです。そこで、相手と協働的に解決策を探る姿勢を持つことで、関係性がむしろ強化されます。
問題の背景を確認する
問題の裏側には理由・制約・事情が存在することが殆どです。ですから、いきなり叱らないで背景を確認するべきです。「今回の作業が遅れた背景には、どんな事情がありましたか?」
納得できる改善策を“合意”する
解決策は一方通行ではなく、双方が「実行可能」「意義ある」と感じるものである必要があります。たとえば、「次回からは締切の前々日に進捗を共有することで、どうでしょう?」
話し方教室の視点/酒井学院総長の一言
ネガティブな話題は、言い方ひとつで「衝突を深める」こともあれば、「信頼を強化し関係を前進させる」こともあります。
大切なのは、自分の正しさを主張するのではなく、課題と向き合い、共に改善する姿勢なのです。コミュニケーションの質は、人間関係の質を決めると言っても過言ではありません。ネガティブな話題こそ、丁寧に扱わなければならない。そう言えるでしょう。
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