「部下に安心感を与える話し方の基本|話し方教室が解説する信頼関係構築の技術」(じっくり教養 話し方教室東京)


「部下が本音を話してくれない」「相談に来てくれない」「指示を出しても動いてくれない」。多くの管理職・リーダーが直面するこの問題の背景には、能力不足よりも、“安心して話せる環境がつくれていない”ことがあります。

優れたチームは、リーダーと部下の間に心理的安全性が存在します。心理的安全性とは、「この人には何を言っても大丈夫」「自分を否定されない」と部下が感じられる状態です。

そして心理的安全性をつくる最も直接的な手段が**“話し方”**です。たとえば、声のトーン、言葉の選び方、丁寧な質問、承認の姿勢——これらを意識できるリーダーは、自然と部下から信頼され、相談され、成果が生まれるチームをつくります。

今回は、部下に安心感を与える話し方を解説します。

1.まず“聴く力”を身につける

部下に安心感を与えるリーダーは、話す前にしっかり聴くことを徹底しています。相手の話を遮る、結論を急ぐ、表情が固い——これらは部下に「話してはいけない」という無言の圧力を生みます。

承認・リフレーズを交えて傾聴する

人は、話を“理解される前に、受け入れられたい”と感じています。「なるほど」「そう感じたんだね」「具体的には?」といった承認と促しの言葉を使うと、安心して話せる雰囲気が生まれます。

とくに**相手の言葉を短く繰り返す“リフレーズ”**は、傾聴の基本であり高い効果があります。

途中で否定やアドバイスをしない

部下が話している最中に、「それは違う」「でもさ」「つまりこうすればいいんだよ」と言ってしまうリーダーはとても多くいます。しかしこれは、部下の成長を止め、自信を奪う危険な言葉です。

部下の意見に対しては、まず**「話してくれてありがとう」「教えてくれて助かる」**という承認から入ることが重要です。

2.”言葉選び”と”声のトーン”に注意する

同じ内容でも、言い方ひとつで受け取る印象は大きく変わります。特にリーダーの言葉は強く響くため、言葉の選び方と声のトーンは慎重に扱わなければなりません。

否定語よりも肯定形で伝える

「遅いよ、なんでできてないの?」と言っていませんか。これはダメです。そうでなくて、「どこで困っている?何かサポートできることはある?」と言うべきです。

否定・批判の質問は、部下を萎縮させ、報告や相談を減らす原因になります。一方、肯定的な質問は、前向きなコミュニケーションを生み、成長の機会を作るのです。

声のトーンと表情を柔らかくする

部下に安心感を与えるリーダーは、声を低く落ち着いたトーンで話し、表情は穏やかです。「ゆっくり」「柔らかく」「笑顔で」伝えること——これは心理的安全性を生む重要ポイントです。逆に、焦り・怒り・緊張は声に現れやすく、相手を委縮させます。

3.”建設的”フィードバックを習得する

安心感のあるチームには、成長を促す建設的フィードバックがあります。褒めるだけでも、叱るだけでも不十分です。部下が失敗しても、「成長の機会」ととらえ、次へつなげる話し方が求められます。

事実ベースで具体的に伝える

「もっとしっかりやって」と言うよりも、「資料の構成は良かった。締め切りが守れなかった理由はどこにある?」というべきでしょう。曖昧な指摘は不安を生み、具体的なフィードバックは、安心と行動改善の両方を実現するのです。

良かった点・改善点・期待をセットで伝える

人は否定から入られると、内容を受け取れなくなります。そこで「良かった点→改善点→期待」の順で伝えることをお勧めします。これはとても効果的です。

たとえば、こんな風に。「まずプレゼン冒頭のストーリーがとても良かった。改善点は、結論を先に示すとさらに伝わりやすくなる。次回はその点を期待している。」

話し方教室の視点/酒井学院総長の一言

部下に安心感を与える話し方は、特殊な才能を必要としません。

傾聴、承認、言葉選び、建設的フィードバック、そして心理的安全性——これらを実践することで、チームの空気は変わり、部下は自発的に行動し始めます。

人が育つ組織には、必ず**「安心して話せるリーダー」**がいるのです。このことを忘れないでください。

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