「会議で相手を傷つけずに“代案を提示する”話し方のコツ|話し方教室直伝」(じっくり教養 話し方教室東京)

会議では、提案に対して「別の選択肢が良いのではないか」と思う場面があります。しかし、その言い方を誤ると、相手に「否定された」と受け取られ、人間関係がぎくしゃくすることもあります。
代案を提示すること自体は、組織にとって前向きな行為です。ただし、その伝え方には細心の配慮が必要になります。今回は、会議で相手を傷つけずに代案を示すための“言葉選びの基本”を解説します。
1.相手の提案を肯定し否定語を使わずに代案を伝える
代案を提示する前に重要なのは、相手の考えを尊重する姿勢を言葉で示すことです。人は、自分の意見を「理解された」と感じたとき、初めて相手の意見に耳を傾けます。
相手の提案を肯定してから 追加提案をする
いきなり代案から入ると「否定」と受け取られます。そこでまず、「その視点はとても良いと思います」「この提案は方向性として前向きですね」と、相手を認める言葉を最初に置きます。
その上で、「もう一つの案として〜」「さらに発展させる形で〜」とつなげることがポイントです。
否定語を使わず“選択肢を示す形”で伝える
「でも」「違います」「いや」などは、強い対立軸を生みます。代わりに、「加えて考えられる案として」「別案としてもうひとつ提示すると」「他の選択肢としては」といった言い回しを使うことです。
こうすることで、相手は「自分の提案が否定されている」ではなく、「建設的な議論が生まれている」と感じることができます。
2.代案に説得力を持たせるものはデータと大義である
代案は、ただ意見するだけでは説得力は生まれません。なぜその代案が適切なのか、目的・理由を言葉で明確にすることが大切です。
データ・数字・事実で説得する
たとえば、「以前この方法で進めた時、スケジュールが安定しました」「顧客アンケートでは、この点が評価に影響しています」「市場動向ではこちらのニーズが伸びています」
感情ではなく客観的事実で議論を動かすことは大切です。
代案を採用するメリットに大義を
代案を示すときは、「自分の意見が正しい」ではなく「チームや会社、あるいは顧客にとって良い方向になる」と述べることです。「この方法なら、担当メンバーの負担が分散できます」「我が社の顧客対応の質が上がります」「お客様の工場のスケジュールリスクを抑えられます」
相手や組織にとっての“利点”が言葉に含まれると、受け入れやすくなるものです。
3.断定せずに、議論の余白を残す話し方をする
代案は押し付けになった瞬間に、相手は心を閉ざします。結論を一方的に言い切るのではなく、相手と一緒に検討する姿勢を示すことも大切です。
代案に対する意見を求める
代案を述べたあとに、「この案について、皆さんの意見も伺いたいです」「どの点が課題になりそうでしょうか?」と、主導権を相手に返します。これだけで、**“対立”ではなく“共同作業”**になるのです。
“改善のたたき台”としての代案提示もあり
「検討材料として挙げさせてください」「一例として案をご提供したいと思います」この一言があれば、相手は「提案に参加している側」になり、議論が前に進みやすくなります。
話し方教室の視点/酒井学院総長の一言
会議における代案提示は、相手を打ち負かすためのものではありません。相手の提案を尊重しつつ、より良い選択肢を共に作るプロセスなのです。
そのためには、相手を肯定する。断定せずに提案する。もちろん提案自体に説得力がなければなりません。これらを実践することで、あなたの発言は「反対意見」ではなく、“建設的な提案”へと変わります。その結果、人間関係が壊れることもなくなります。
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