「管理職のためのファシリテーション入門|話し方教室が解説する『会議を活性化し、成果を生み出す進め方』の基本」(じっくり教養 話し方教室東京)

管理職になると、「メンバーに話してもらう力」が求められます。その中心となるスキルがファシリテーションスキルです。
会議で「発言する人が偏る」「議論が脱線する」「結論が決まらない」「会議後に誰も動かない」といった悩みは、多くの場合、参加者ではなくファシリテーターの進行方法に原因があります。
ファシリテーションとは、会議やミーティングで参加者の意見を引き出し、議論を整理し、合意形成を促進し、成果につなげるコミュニケーション技術です。
今回は、本学・話し方教室の視点から、管理職が身につけるべきファシリテーションの基本を解説します。
1.ファシリテーションの基本を理解する
管理職は「話す人」より「引き出す人」
管理職は経験も知識も豊富なため、自分がさっさと決めた方が早いと考えがちです。しかし、より良い管理職を目指すのなら、自分が結論を出す人ではいけません。チームメンバーが考え、発言し、納得しながら結論を導ける場をつくることが重要です。
例えば、会議で「皆さんはどう思いますか?」「別の視点はありますか?」「現場ではどう感じていますか?」このような質問を投げかけることで、多様な意見が集まり、チームの知恵を最大限に活用できます。
管理職に求められるのは、「自分の話す量」を増やすことではなく、「メンバーが話す量」を増やすことなのです。
会議冒頭で目的・ゴールを明確にする
会議が長引く最大の理由は、何を決める場なのかが曖昧だからです。そこで、ファシリテーションでは、冒頭で次の3点を共有することです。①今日の目的、②今日決めるべきこと、③制限時間 です。
例えば、「本日は来期の営業戦略を決定します」「終了時には担当者とスケジュールまで決めます」「時間は90分です」目的が共有されるだけで、参加者の発言は格段に整理されます。ゴールが明確な会議ほど、生産性は高まります。
2.議論を活性化するコミュニケーションスキルとは
質問で意見を引き出す
ファシリテーションでは、「説明する力」以上に「質問する力」が重要です。良い質問は参加者の思考を深めます。例えば、「その理由は何でしょうか?」「具体例を教えてください」「反対意見はありますか?」「お客様の立場ならどう感じますか?」このようなオープンクエスチョンを使うことで、多面的な議論が生まれます。
一方で、答えが「はい・いいえ」で終わる質問ばかりでは議論は広がりません。管理職は質問によって思考を促進することが重要です。
意見を整理し見える化する
議論が混乱する原因は、話が整理されないことです。そこで、「今の意見を整理すると…」「論点は3つあります」「つまり皆さんがおっしゃっているのは…」このように要約しながら進めることです。
さらに、ホワイトボード、模造紙、オンラインホワイトボード、付箋、スライドなどを使って「見える化」すると、参加者全員が同じ情報を共有できます。見える化は合意形成を大きく加速させます。
3.成果につながる会議運営を実践するコツ
全員参加型の会議にする
いつも同じ人だけが話す会議では、多様なアイデアは生まれません。管理職は、「○○さんはいかがですか?」「現場目線ではどうでしょう?」「新人の立場ならどう感じますか?」と発言機会を均等につくることが重要です。
心理的安全性が高い会議では、アイデアが増える、問題点が見つかる、チームワークが向上する などの効果があります。「誰も置き去りにしない進行」を目指してください。
議論を「行動」に落とし込んで終える
良い議論ができたとしても、「結局何をするの?」で終わってしまえば意味がありません。そこで、会議終了10分前には、必ず、決定事項、担当者、期限、次回確認事項を確認します。
例えば、「資料作成は田中さん、来週火曜日まで」「営業部との調整は佐藤さん」「次回会議で進捗確認します」ここまで決めることで、会議は単なる「話し合い」で終わらず、「実行」へとつながります。
成果を生む管理職は、会議を行動計画まで落とし込むのです。
話し方教室・専門家の視点/酒井学院長の一言
管理職にとってファシリテーションは、単なる会議進行ではありません。チームの知恵を引き出し、意見を整理し、合意形成を進め、成果につなげるための重要なマネジメントスキルです。
今回ご紹介したポイントを整理すると、次の3つになります。
管理職は、ファシリテーションの基本を理解し、「話す人」ではなく「引き出す人」になる
質問と要約を活用し、議論を整理・活性化する
全員参加型の会議を実現し、決定事項を具体的な行動へ落とし込む
会議の質が変われば、チームのコミュニケーションは変わります。そして、コミュニケーションが変われば、組織の成果も変わるのです。大変ではありますが、管理職の皆さん!頑張ってくださいね。
日本コミュニケーション学院 創設者・学院総長 酒井美智雄
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