「感情に訴求するプレゼンテーションのコツ|話し方教室が教える“心を動かす伝え方”」(じっくり教養 話し方教室東京)

ビジネスの世界では「論理的な説明」だけでは人は動きません。上司・部下・顧客・取引先のどんな相手であっても、最終的に意思決定を後押しするのは“感情”になります。

実は、成果を出すプレゼンテーションには「感情に訴える構成」「聞き手の心の動きを意識した表現力」があるのです。そこで今回は、感情に訴求するプレゼンのコツを解説します。

1.聞き手の“感情ポイント”を押さえる

感情に訴求するプレゼンの第一歩は、聞き手が何に価値を感じ、どこに不安を持ち、何を望んでいるのかを明確にすることです。「プレゼンの目的は“説明”ではなく“共感の獲得”」にあるのですから。

聞き手分析を行う

聞き手によって伝わりやすいポイントは大きく異なります。部長・課長・顧客・現場など立場が違えば、感情の動きも違います。まずは、聞き手を明確にする必要があります。

その上で、何に不安があるのか、どんな未来を望んでいるのか、どの視点でメリットを感じるのか、これらを整理することが重要です。

共感で心をつかむ

プレゼン冒頭で共感を示すことで、聞き手の心理的距離は一気に縮まります。たとえば、「皆さんも日々の業務で〇〇の課題を感じたことがあるのではないでしょうか」。

こうした一文が入るだけで、聞き手は「自分ごと化」し、感情が動きやすくなります。

2.”ストーリーテリング”で心を動かす

論理は理解を生み、ストーリーは感情を動かします。そして、「心を動かすにはストーリーテリングが不可欠」の要素になります。

ストーリーテリングの流れ

ビジネスでは、聞き手が「自分にも関係がある」と実感できる流れが重要になります。以下は、ストーリーテリングの一般的な流れです。

問題(現状の課題)→ 葛藤(当事者の悩みや苦しみ)→ 解決(提案が何を変えるのか)→ 未来(導入後のポジティブな変化)

エピソードを語り臨場感を高める

事実だけの説明よりも「具体的な人物」「実際の会話」「リアルな場面」が入ると、聞き手は情景を頭の中で描きやすくなります。これは“感情を乗せた話し方”の基本であり、説得力の源ともいえます。

そこで、実際にあった成功事例や顧客の声も加えてください。そうすることでプレゼン全体に厚みが出ます。

3.”非言語コミュニケーション”で説得する

人へ伝わる印象の多くは“言語以外の要素”で決まるとされています。表情・声・姿勢・目線などの非言語要素は、感情に強く作用します。

声の強弱・抑揚で感情に訴える

感情に訴求するプレゼンでは、声の使い方が重要です。たとえば、ここがポイントという場面では「少しゆっくり、低めの声で」話します。また、希望や未来を語る場面では「明るく、高めの声」で語ります。

こうした声の調整によって、聞き手の感情は動かされます。単調な声は感情を動かさないため、意図的に抑揚をつけることが必要です。

視線・ジェスチャーで信頼を醸成する

目線を合わせながら話すと「誠実さ」「自信」「信頼性」が伝わります。姿勢が悪かったり、資料ばかり見続けたりすると、聞き手は内容以前に“印象”で不安を抱えます。

適度なジェスチャーは、話にリズムを生み、感情のニュアンスを補強する役割を果たします。非言語が整うことで、話全体に説得力が宿るのです。

話し方教室の視点/酒井学院総長の一言

感情に訴求するプレゼンテーションも“技術”といえます。その技術とは、聞き手の感情ポイントを押さえ、物語を語り、そして非言語コミュニケーションを活用することです。

もし、プレゼンがうまくいかないと感じている人がいたら“感情訴求”という視点を取り入れてみてください。きっと、聞き手への伝わり方、説得力が劇的に変わることでしょう。

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