話し方教室(東京)/朝礼スピーチの話材「伝統と革新の点検を!」

大学の伝統の精神

母校から年に数回、大学新聞が送られてくる。普段は母校のことは忘れているが、その新聞を読むことで、大学の現況を知り、学生時代の事を思い出す。

私が大学を卒業したのは、もう随分前のことだ。どの大学にも伝統の精神なるものがあり、私の母校のそれは、「質実剛健」、「実地応用の素を養う」というものである。

なんとも古めかしい言葉であるが、母校が創立されたのが130年前だから仕方がない。

質実剛健、実地応用の素を養う

思うに、「質実剛健」の質実とは、たぶん「質実主義」から来ている。質実主義とは、形式にとらわれず、内容を重んずる主義のことである(広辞苑)。また剛健とは、心身が強くしっかりしていることをさす。

私は「質実剛健」を、「中身を重視し、心身ともにタフであること」、そう解釈してきた。それなら、現代においても十分に通用する伝統の精神に違いない。

また、「実地応用の素を養う」とは、実際に使えるレベルの根底力を養うことだと私は思ってきた。下世話な言葉でいうなら、「飯が食える力」と言うことになるだろう。

伝統の精神を時代に合わせて革新

伝統の精神に基づきながらも、時代の要請に合うように革新もしていかなければならない。

最近母校では、グローバル化の時代に鑑み、教育理念の「3D」を唱えている。プリンターのことではないので、念のため。

Diversity:異質なものを相互に尊重しあう

Dialogue:対話を通して共通の理解や合意を形成できる

Dignity  :明確な倫理観をもち人間としての品位を備える

私の学生時代には、この3Dの教育理念はなかったが、確かに、今の時代に欠かせない理念だと思う。

守りぬくもの、変えるもの

巷でよく「伝統と革新」ということが言われる。伝統とは、変えないで守るものであり、革新とは変えるもののことである。

大学でも、国でも、会社でも、そして家庭や個人においても、守りぬくものと、変えていくものは何なのか。そのことを私達は、折に触れて思い起こし、そして点検する必要があると思っている。

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