「部下を責めずに成長を促す“話し方”の基本|話し方教室直伝コミュニケーション術」(じっくり教養 話し方教室東京)


上司が部下を成長させるためには、「叱る」「注意する」にしても、「どう伝えるか」が決定的に重要です。多くの上司が「言ったのに伝わらない」「反発される」「改善されない」と悩みますが、実はその原因の多くは“話し方”にあるのです。

相手を責めずに前向きな行動を引き出す伝え方はリーダーに欠かせません。今回は、部下のやる気を損なわずに成長を促すためのコミュニケーションの基本を解説します。

1.事実と感情を切り分けて伝える

感情的な叱責は、部下の防衛反応を引き起こし、素直に受け取ってもらえません。上司が意識すべきは、「事実」と「感情」を分けて伝える話し方です。

人格を否定せずに行動に焦点を当てる

「どうしてそんなことをしたの?」という言葉は責める印象を与えてしまいます。代わりに「この資料の提出が1日遅れたことで、会議準備に影響が出た」と行動と結果を明確に伝えることがコツです。

これにより、部下は「自分を否定された」と感じず、改善点を冷静に受け止められるようになります。

率直さは大事だが言葉選びに注意する

「腹が立った」ではなく、「正直、驚いた」「少し心配になった」と言い換えることで、感情の温度を下げながら誠実さを伝えることができます。

上司の言葉選びは、信頼を壊すか築くかを左右するほどのものであることを忘れない方が良いでしょう。

2.部下の成長を促す未来志向の話し方

一方的に注意されると、部下は「自分はダメだ」と感じてしまいます。部下の成長を促す話し方とは、“叱る”ではなく“支える”姿勢です。

過去よりも未来に焦点をあてる

「なぜできなかった?」という質問は責める印象を与えます。代わりに「次はどうすればうまくいくと思う?」と未来志向の問いかけをすることで、部下自身が解決策を考えるようになります。

未来志向は相手の自発性を引き出すテクニックでもあるのです。

小さな進歩を承認する

ミスを指摘するだけでなく、「前回より報告が早かったね」「説明が分かりやすくなった」と改善の兆しを認める言葉もかけたいものです。

人は「認められている」と感じた瞬間に、次の努力を始めるものです。小さなことでも承認することは大切です。

3.リーダーシップは普段の信頼関係の上に成立する

どんなに正しいことを言っても、信頼がなければ届きはしません。日頃から心理的安全性のある関係づくりを意識することが、話し方の基本です。

日常のコミュニケーションを重視する

成果を出した時やトラブル時だけでなく、普段から「最近どう?」と声をかけることで、上司と部下の距離は縮まるものです。ささいな日常の会話が、フィードバックを受け入れやすい関係を築く土台になります。

非言語コミュニケーションに注意する

言葉以上に、表情や声のトーン、姿勢が大切です。穏やかな声で、相手の目を見て話すだけでも、「この人は自分を理解しようとしている」と感じさせられます。

つまり、コミュニケーションは言葉だけのものではなく、非言語表現と一体であることを忘れないでください。

話し方教室の視点/酒井学院総長の一言

効果的にリーダーシップを発揮する上司は、言葉を選び、感情に寄り添い、部下を支える姿勢で接しているものです。そして、部下が自ら成長したいと思える環境を整えるのがうまいのです。

過去に何度も言及していますが、リーダーシップの核心はコミュニケーションスキルにあります。そして、そのコミュニケーションスキルは突飛な行いではなく、日常の延長線上にあるものです。

リーダーはコミュニケーションスキルを学び、実践しなければなりません。そして、部下と共に成長することこそ、リーダーシップの本質でしょう。

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