「なぜ褒めても響かないのか?話し方教室が解説する“部下への褒め言葉”その伝え方の基本」(じっくり教養 話し方教室東京)

「ちゃんと褒めているつもりなのに、部下の反応が薄い」「褒めたのに手ごたえを感じない」——多くの管理職・リーダーが抱える悩みです。“褒め言葉が響かない理由”のほとんどが 「伝え方が抽象的で、不明確で、タイミングが遅い」 ことにあります。
褒めることは、部下のモチベーションや心理的安全性を高める上で欠かせないコミュニケーションスキルになります。しかし、ただ「すごいね」「助かったよ」と言うだけでは、部下は何を評価されているのか分からず、行動改善にもつながりません。
そこで今回は、褒めても響かない理由と、響く褒め方の技術を整理して解説します。
1.抽象的な褒め方では響かない
部下に響かない褒め方の典型が、「よかったよ」「すばらしいね」といった抽象的な言葉だけの承認です。部下は「具体的に何が良かったのか」が分からなければ、成長にも再現にもつながりません。
具体的な行動を褒める
褒めるときは、必ず “具体的な行動” と結び付ける必要があります。たとえば、「クレーム対応の際、相手の話を最後まで丁寧に傾聴していた点がとても良かった」「資料の構成を分かりやすく整理してくれたおかげで、打ち合わせがスムーズに進んだよ」。
“行動”を褒めることで「次も何を意識すべきか」が明確になり、部下の自己効力感が高まるのです。
数字・具体例で褒める
褒め言葉が薄く感じられるのは“根拠がない”からです。そこで、「君が作ったチェックリストのおかげでミスが4割も減ったよ。とても助かった」のように、数字や具体例を添えるだけで承認の説得力は劇的に高まります。
2.褒めるタイミングが遅いと響かない
部下が「褒められた気がしない」と感じる大きな理由のひとつが、タイミングの遅さです。行動から時間が空くほど、褒め言葉と行動がリンクしなくなります。
すぐに褒める
「さっきの説明、分かりやすかったよ」「顧客へのヒアリング、的確だったね」10秒で言える短い言葉でも、タイミングが早ければ十分に効果があります。“後でまとめて褒める”は逆効果です。
小さなことを褒める
ZoomやTeamsでのミーティング後、チャットでもすぐに承認は可能です。たとえば、「議事録が非常に見やすかった。ポイントが整理されていてよかった」などチャットでも伝えられます。
「小さな承認」でよいのです。その積み重ねが、やる気や信頼関係を築いていきます。
3.部下の“強み”に結び付けて褒めると響く
褒め言葉が“その場限り”で終わってしまう原因は、本人の強みと結び付いていないからです。強み とつなげて褒めることで、部下は「自分には価値がある」と感じ、主体性が増していきます。
強みを見出して褒める
「相手の話を落ち着いて聞けるのは君の大きな強みだよ。顧客が安心して話していたね」「細部への気配りができるのは才能だよ。その強みが資料作成に活きている」。
強みを指摘されることで、部下は自分の成長ポイントを理解しやすくなります。
褒め言葉と期待をセットにする
褒め言葉は未来とつながると、部下のやる気を引き出すコミュニケーションに変わります。「そのまとめ方はチーム全体を助ける力があるよ。次のプロジェクトもぜひ任せたい」「ヒアリング力が本当に高い。新人にそのやり方を伝えてほしいな」。
承認 → 期待 の流れは、効果が高いフィードバック技術の一つです。
話し方教室の視点/酒井学院総長の一言
褒め言葉が響かないのは、部下の性格のせいではありません。抽象的・遅い・強みにつながらない──この3つがそろうと、どれだけ褒めても心には届かないのです。
逆に言えば、具体的・即時・強みとセット、これを押さえれば、褒め言葉は「成長を生むコミュニケーション」へと変わるのです。部下育成において、褒め方は欠かせない“コミュニケーション技術”です。今日から実践してください。必ず成果は表れます。
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