「コミュニケーション心理学入門|話し方教室が教える“心を動かす対人スキル”」(じっくり教養 話し方教室東京)

コミュニケーションは「話す技術」だけでは成立しません。相手の心の動きを理解し、言葉に表れないサインを読み取り、信頼関係を築くための“心理学的アプローチ”がコミュニケーションには不可欠です。
成果を出すビジネスパーソンは、心理学の基本原則を実践できているものです。今回は、コミュニケーション心理学の入門として、すぐに使えるポイントに整理して解説します。
1.非言語表現を理解してコミュニケーションを深める
言葉の影響力は全体の3割、残りは表情・声のトーン・視線・姿勢などの非言語コミュニケーションが担っています。相手の本音を読み取る際にも、非言語の情報は重要な手がかりになります。
表情・声・しぐさから“感情”を読み取る
相手の眉の動き、視線、口角の上がり下がり、声の震えやスピードなどは、感情がそのまま表れます。たとえば、返事は「大丈夫です」と言っていても、声が弱かったり目線が泳いでいたりすれば、心理的な負荷や不安を抱えている可能性があります。
ビジネスの現場でも、話の内容だけで判断せず、非言語のサインを“セットで”観察することが信頼構築の第一歩になります。
自分の非言語を調整して相手に安心感を与える
信頼される人は、笑顔・穏やかな声・落ち着いた姿勢・適度な相づちなど、自分の非言語表現を意識的に整えています。たとえば、ビジネスシーンでは、相手が緊張しているなら、自分が落ち着いた声と柔らかい笑顔をたたえることで、場に“心理的安全性”を生み出すことができます。
また、心理学には「ミラーリング効果」というものがあります。これは、相手のペースや姿勢に柔らかく合わせることで、相手は心理的距離が縮まったと感じやすくなる効果をいいます。
2.「傾聴」と「共感」で信頼関係を構築する
コミュニケーション心理学の中心にあり、最も重視されるスキルが傾聴と共感です。相手が「この人には話しても大丈夫」と感じることで、情報共有が進み、関係が良くなり、仕事の成果にも直結します。
傾聴:相手の話を遮らず最後まで聞く
多くの人が、相手の話を最後まで聞く前に、自分の意見を返したくなります。しかし心理学的には、遮られた瞬間に信頼感が下がることが分かっています。
対話では、うなずき・あいづち・復唱を使い、相手が安心して話せる空気をつくることが重要です。特に管理職やリーダーは、傾聴ができるだけで部下の相談数が増え、仕事上のトラブルを減らせるという効果が見られます。
共感:相手の感情を受け止め寄り添う
共感とは「相手の感情を受け止めること」であり、同意とは異なります。「それは大変でしたね」「悔しい気持ち、よく分かります」など、相手の感情に焦点を当てた言葉を返すことで、心理的な距離は大きく縮まります。
この“情緒的共感”で、信頼関係が深まり、意見の違いがあっても前向きな対話を続けられるようになります。
3.相手を尊重する自己表現が健全な対人関係を築く
コミュニケーション心理学の対人スキルの一つに**アサーション(自己表現)**があります。アサーションとは、相手を尊重しながら、自分の意見・感情・要求を伝えるスキルのことです。そうして、攻撃的でも、受け身でもない、“健全なコミュニケーション”を目指します。
「I(アイ)メッセージ」で柔らかく主張する
「あなたが悪い」ではなく「私はこう感じた」という伝え方が、心理学では衝突を生みにくいとされています。たとえば、「なんで君は報告が遅いんだ!」と言わずに、「私は、少しでも早く状況を知りたいと思っている」と伝えます。そうすることで、相手は責められた印象を受けずに、建設的な会話ができます。
意見を押しつけずに合意を形成する
アサーションのポイントは、意見の押しつけではなく「お互いにとってより良い方法」を探す姿勢です。ビジネスの現場では、代替案の提示・相手への配慮・柔らかい表現が信頼と協力を高めるものです。たとえば、「この方法もありますが、どう思いますか?」と問いかけることで、相手も参加して話し合う空気が生まれます。
話し方教室の視点/酒井学院総長の一言
良好な関係構築に欠かせないスキルは3つあります。それは、第一に、傾聴と共感。第二に、非言語コミュニケーションの理解。そして、第三に、相手尊重の自己表現です。
これらを訓練したわけでもないに、上手くやれる人を時折見かけます。しかし、ほとんどの人達は訓練をする必要があります。
対人関係が上手くいって損をする人などいません。ですから、皆さんにはぜひ上記の3つのスキルに挑戦して磨いてほしいと思っています。
私は思うに、人生とは自己実現と人間関係です。自分のなりたい自分になり、周りの人達といい関係を築くことができれば、それで人生はハッピーです。ですから、対人スキルと高めて、どうか、後悔しない人生をおくってください。
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