「自走する組織をつくる管理職の話し方|話し方教室が教える“部下が主体的に動く”コミュニケーション術」


企業を取り巻く環境が急速に変化する現代において、管理職に求められる役割も大きく変わっています。かつてのように上司が指示を出し、部下がそれに従うだけでは、変化の激しい時代を乗り切ることはできません。

今、多くの企業が目指しているのは「自走する組織」です。自走する組織とは、一人ひとりが主体的に考え、自ら判断し、自ら行動できる組織のことです。そして、そのような組織づくりの鍵を握るのが管理職の話し方・コミュニケーションのあり方です。

本学にも、経営者や管理職の方々から「部下が指示待ち」「主体性がない」「チームが思うように動かない」といった相談を数多く受けます。そこで今回は、自走する組織をつくるために管理職が身につけたい話し方について解説します。

1.部下の主体性を引き出す話し方を

自走する組織をつくる第一歩は、管理職自身がコミュニケーションのスタイルを変えることです。多くの管理職は責任感が強く、問題が発生するとすぐに答えを教えたり、具体的な指示を出したりします。しかし、それを繰り返すと部下は考えなくなり、指示待ちの姿勢が強くなってしまいます。

質問で考える習慣を育てる

部下が主体的に動くためには、自ら考える習慣が必要です。そこで、「あなたはどう考える?」「改善する方法は何があると思う?」「他にどんな選択肢があるだろう?」といった質問を投げかけることで、部下は自分の頭で考えるようになります。

管理職の仕事は答えを与えることではなく、考える力を育てることなのです。

部下が結論を導くまで待つ

優秀な管理職は、すぐに正解を言わないものです。部下が自分の考えを言葉にし、整理し、結論を導くまで待つ姿勢を持っています。対話の時間は少しよけいにかかりますが、長期的には主体性の高い人材育成につながります。

2.傾聴・共感・承認で心理的安全性を高める

部下が主体的に動くためには、「安心して発言できる環境」が必要です。近年のマネジメントで重視されている心理的安全性は、自走する組織づくりの基盤といえます。その土台となるのが管理職の傾聴力と共感力です。

話を途中で遮らない

部下が話している途中で、「それは違う」「前にも言ったよね」「そんなことより」と話を遮ってしまうと、部下は本音を話さなくなります。本学・話し方教室でも常にお伝えしているのは、「話す力の前に、聴く力が重要である」ということです。

部下が安心して相談できる環境をつくることが、自走する組織への第一歩です。

共感の言葉で承認する

部下は理解されていると感じることで挑戦しやすくなります。例えば、「よく考えているね」「その視点は面白いね」「そこまで取り組んだことは素晴らしいね」といった共感の言葉は、部下の自己肯定感を高めます。

人は認められることで、自ら行動しようという意欲を持つのです。

3.部下の成長を支援する話し方を

管理職の役割は、人を管理することから、部下の成長を支援するリーダーシップに移行しつつあります。

フィードバックで成長促進

主体的に動く人材を育てるためには、一方的な評価だけでは不十分です。例えば、「今回の提案で良かった点はここだね」「次回さらに良くするには何ができそう」と具体的なフィードバックを行うことで、部下は成長の方向性を理解できます。

フィードバックでは、結果だけでなく成長のプロセスを見ることも重要です。

ビジョンを共有する

自走する組織には共通の目的があります。管理職が目先の業務指示ばかりを行うと、部下は「やらされ感」を抱きやすくなります。

一方で、「なぜこの仕事を行うのか」「私たちは何を目指しているのか」「この仕事がお客様や社会にどう貢献するのか」を継続的に伝えることで、部下は自らの役割を理解し、自発的に行動するようになります。

優れたリーダーシップとは、人が自ら動きたくなる理由を示すことといえます。

話し方教室・専門家の視点/酒井学院長の一言

「自分が頑張る組織」ではなく、「部下が主体的に動く組織」を目指す。これが今どきのリーダーシップになってきています。そして、その違いを生み出すのが、日々の何気ない話し方なのです。

まずは今日から、「答えを教える前に質問する」「指摘する前に共感する」を意識してみてください。そのささやかな変化が、自走する組織づくりの大きな第一歩になることでしょう。

管理職の話し方が変われば、部下との関係が変わり、部下との関係が変われば、チームは変わります。自走する組織になれるかどうかは、あなたの話し方、コミュニケーションのあり方にかかっているのです。

日本コミュニケーション学院 創設者・学院総長 酒井美智雄

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