話し方教室「電子メールによる『説得力』を過大評価してはいけない!」

電子メールによる依頼と面談による依頼の効果実験

ハーバード・ビジネス・レビューは4月11日、電子メールによる依頼と面談による依頼の効果に関する実験を紹介した。この論文は「ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・ソーシャル・サイコロジー」に発表された。

実験では45人の参加者がそれぞれ面識のない相手10人に簡単な依頼をした。コミュニケーションの方法は半分が電子メール、半分が直接面談で、同じ文章を用いて調査への協力を依頼した。

参加者は依頼の前にそれぞれの方法による成功率を予想したが、面談の成功率は10人のうち5人、電子メールでは5.5人と、ほぼ同程度の自信を示した。しかし面談で依頼に応じた人の数は電子メールの約34倍にもなった。

人々は電子メールよりも、面談の依頼に応じやすい

人々が電子メールよりは直接の依頼に応じやすいという研究結果はこれまでにも得られている。

しかし多くの人は電子メールによる依頼の方が効果的だと信じている。従って電子メールによる説得力を過大評価、面談の方法を過小評価する傾向にある。

研究者によると、電子メールの発信者は内容の信頼性と依頼の正当性に注目するあまり、受信者の立場が見えていないためであろうという。受信者にとっては、不審なメールが怪しげなリンクをクリックすることを要請しているにすぎないのだ。

研究者は別の実験でこの結果を再確認するとともに、2つの方法による効果の違いが、面談に伴うコミュニケーションの非言語要素に起因するという結果を得たという。

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