「角が立たない断り方・頼み方|話し方教室が教える”自他尊重”の伝え方の基本」(じっくり教養 話し方教室東京)


「仕事を頼まれると断れない」「改善してほしいことを言うと、相手が不機嫌になる」。職場では、言いにくいことをどう伝えるかが悩みになりがちです。遠慮して抱え込むと自分の負担が増え、強く言いすぎると信頼関係を損ないます。

そこで、自分の考えや希望を率直に表現しながらも、相手の考えや事情も尊重するコミュニケーションが必要になります。今回は、自分も相手も尊重する断り方・頼み方のコミュニケーションスキルを解説します。

1.信頼関係を保つ相互尊重のコミュニケーションとは

自己尊重と相手尊重を両立させる

自分の希望を伝えることは、わがままではありません。引き受けられる仕事量や対応できる時間を知らせることは、業務を調整するための大切な情報です。相手を優先するあまり、自分の限界を隠していませんか。

もっとも、「そんな仕事は無理です」と突き放すだけでは、協力する姿勢が伝わりません。「今日は既存の案件で手いっぱいです。追加の対応は明日になります」と、状況と対応可能な範囲を示すことです。互いを大切にする姿勢が、ビジネスコミュニケーションでは欠かせません。

傾聴と確認質問で依頼内容の理解を

断る前に、相手が何を必要としているのかを聞くことは重要です。相づちやうなずきで話を受け止め、「今日中に必要なのは、完成版ですか、それとも概要ですか」と確認します。依頼の一部だけなら対応できる場合もあるからです。

「急いでいるのですね」と共感を示しても、依頼をすべて引き受ける必要はありません。キチンと聞くことと、承諾することを分けて考えます。相手の話を最後まで聞き、要望を理解したうえで自分の事情を伝えると、調整すべき論点も明確になります。

2.断り方・頼み方ではクッション言葉と具体的な説明が大事

クッション言葉を添え結論・理由・代案を伝える

断るときは、「恐れ入りますが」などのクッション言葉を短く添え、結論は明確に伝えます。その後、必要な理由と実行できる代替案を示します。前置きが長すぎると、引き受けるのか断るのかが分かりにくくなります。

例えば、「恐れ入りますが、本日の資料作成は難しいです。現在の案件の締め切りが重なっています。明日の午前中なら対応できます」と伝えます。「できたらやります」という曖昧な返事は避け、できることと難しいことを具体化します。代替案がないときは、無理に約束を増やさないことも大切です。

フィードバックは事実・影響・希望を伝える

フィードバックを伝えるなら、相手の性格を批判せず、変えてほしい行動を示します。「いつもいい加減ですね」ではなく、「昨日の資料には売上の数字が入っていませんでした」と、事実から話します。「いつも」「絶対」といった決めつけも控えます。

続けて、「私は、この資料だと会議で判断材料を示せず困ります。今日の15時までに数字を追加してもらえますか」と、影響と希望を伝えます。期限、仕上がりを示し、相手が対応できるかを確かめます。

3.練習で相互尊重の話し方・聞き方を改善していく

声の速さ・表情・姿勢を整える

同じ言葉でも、早口や強い口調では圧迫感が生まれます。落ち着いたトーンと声量で話し、語尾まで明瞭に発音します。声の調子、表情、姿勢などの非言語コミュニケーションも、言葉と一緒に相手へ届きます。

険しい顔で一気に話す前に、一呼吸置くことは重要です。

話し方・聞き方をトレーニングする

話し方・聞き方のトレーニングをするなら、困った場面を選び会話として練習することです。たとえば、上司への断り方、同僚への依頼という具合です。

自分の練習を録音して聞くときは、滑舌、声の速さ、語尾の癖、結論は明確か、理由が長くないかを確認します。すべてを一度に直そうとせず、一つ一つ改善していくことが継続のコツです。

話し方教室・専門家の視点/酒井学院長の一言

角が立たない断り方・頼み方の基本は、相互尊重、傾聴、明確な結論、具体的なお願いです。

ちなみに、相手に配慮することと、曖昧にすることとは違います。まずは「相手の事情を聞く」「対応できる範囲を伝える」の二つから始めてください。率直で丁寧な対話の積み重ねが、仕事の進めやすさと信頼につながっていきます。

日本コミュニケーション学院 創設者・学院総長 酒井美智雄

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