「質問力を高める|話し方教室が教える”相手の考えを引き出す”聞き方の基本」(じっくり教養 話し方教室東京)


「質問しても会話が続かない」「部下に意見を求めても返事が短い」。この悩みは、質問の数を増やすだけでは解決しません。相手が答えやすい問いを選び、回答を丁寧に受け止めることが大切です。

質問力とは、相手の状況や考えを理解するために問いかけ、対話を深める力です。営業、会議、報連相、管理職の面談だけでなく、日常の会話や雑談にも役立ちます。

今回は、本学の話し方教室講座でご指導しているコミュニケーションスキルから”質問力向上”に焦点をあてて解説します。

1.傾聴と共感が信頼関係を築くベースになる

作業の手を止め、相手の話を最後まで聞く

まず、質問する前に、相手の話を最後まで聞く姿勢が重要です。途中で結論を決めつけたり、すぐに助言したりすると、相手の事情を見落とします。視線を向け、うなずき、「なるほど」と相づちを返すことが基本です。

言葉だけでなく、声の調子、姿勢、表情などの非言語コミュニケーションも見直す必要もあります。パソコンを見たまま質問されると、相手は話しかけにくいものです。作業の手を止め、落ち着いた声で聞くことで、話を受け止める意思を伝えられます。

共感的に受け止めれば心理的安全性が高まる

部下が「今の業務が負担です」と話したら、「それくらい普通だ」と言う前に、「負担に感じているのですね」と受け止めます。共感は、すべての意見に賛成することではありません。相手の感じ方を理解しようとする姿勢です。

続けて「どの作業で特に負担を感じますか」と尋ねれば、対話を具体化できます。反対意見や困り事を話しても頭ごなしに否定しないことです。その安心感が、心理的安全性の土台をつくります。また、私生活や話したくない事情まで無理に聞き出さない配慮も必要です。

2.質問を意識的に用いて考えを具体的に引き出す

2つのクエスチョンを理解する

質問には2つあります。一つは、オープンクエスチョン。これは、自由な回答を求める質問です。「今回の提案について、気になる点は何ですか」と聞けば、相手が重視する条件を知る手がかりになります。一方、クローズドクエスチョンは、「はい・いいえ」の限定した回答を引き出しやすくします。

まず自由な質問で考えを聞き、次に「一番の課題は納期ですか」と確認することで、論点を整理できます。会議では「何か意見は?」より、「導入するとき、現場で困りそうな点は何ですか」の方が答えやすい質問です。

深掘り質問は5W1Hが便利

「なるべく早くお願いします」という依頼には、「いつまでに、どの状態まで仕上げればよいですか」と尋ねます。いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのようにという5W1Hを使い、不足している情報だけを補います。もちろん、すべてを一度に聞く必要はありません。

「使いにくい」という意見には、「どの操作で困りましたか」と具体例を求めます。「なぜできないの?」と責める感じの質問は、「進めるうえで何が障害になっていますか」に変えることで、事情を聞きやすくなります。

3.質問・要約・確認で仕事を前に進める

要約・確認で認識のズレを防ぎ話を前に進める

質問は、回答を得て終わりではありません。「つまり、作業量よりも優先順位が曖昧なことが問題なのですね」と要約し、「この理解で合っていますか」と確認します。解釈が違っていれば、この段階で修正できます。

商談でも、価格の話だけで判断せず、「費用と運用の手間の両方が気になる、という理解でよいですか」と確かめます。そのうえで「そのほか何を確認されたらご判断いただけますか」と尋ねます。会議や面談なら、担当者と期限も確認し、対話で分かったことを行動につなげることが大切です。

トレーニングと振り返りで聞き方を改善する

質問力のトレーニングは、日常の中で始められます。毎日、誰かと対話し、その後に、話を遮らなかったか、質問を重ねすぎなかったか、要約してみかた、理解を確認できたかと振り返ります。

企業研修なら、上司と部下、営業担当者と顧客など、場面に合ったロールプレイの実施も可能でしょう。相手役から「答えやすかった問い」「圧迫感があった言い方」を教えてもらったり、第三者からフィードバックをもらうことで、改善点が明確になります。

話し方教室・専門家の視点/酒井学院長の一言

質問力を高める基本は、傾聴と共感で安心して話せる関係をつくり、質問を使い分け、要約で理解を確かめることが中心です。

上手な質問とは、相手を追い詰めるためではなく、互いの理解を深めるためにあるのです。日々の仕事の中で、一つ一つ意識して取り組んでいくことが上達のポイントです。

日本コミュニケーション学院 創設者・学院総長 酒井美智雄

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