「意見が違う相手と建設的に話し合う方法|話し方教室が教える”対話力”の基本」(話し方・あがり症克服 教養講座)


「反対されると、つい言い返してしまう」「関係を壊したくなくて、自分の意見を飲み込む」。職場や家庭で、意見の違いに悩むことはありませんか。考えが違うときこそ、何を大切にしているのかを確かめ、判断に必要な情報をそろえることが大切です。

対話力とは、相手の考えを聞き、自分の意見も明確に伝えながら、理解や検討を深める力です。本学・話し方教室では傾聴、質問、論理、発声を学び、建設的なビジネスコミュニケーション能力を高めています。

1.傾聴・質問で相手の意見を理解して自分の考えを伝える

相手の話を確認してから、自分の考えを伝える

自分の案を否定されると、相手の説明が終わる前に反論したくなります。まず一呼吸おき、何に反対しているのかを聞くことです。うなずきや相づちを返し、相手の話を理解します。

聞き終えたら、「導入後の負担が増える点を心配しているのですね」と要約して確認します。理解することと、賛成することは別です。受け止めたうえで、自分の考えを伝えます。声が強くなりそうなら、「少し整理してから話したい」と時間を置く方法もあります。

質問で反対の理由・条件・懸念を確かめる

「なぜ反対するのですか」と詰め寄ると、相手は説明しにくくなります。「どの工程の負担が気になりますか」「実施するなら、どんな条件が必要でしょうか」と、具体的な質問に変えます。

例えば、相手は案そのものに反対しているのではなく、人員不足や締切を懸念しているかもしれません。質問は一度に一つに絞り、回答を待ちます。「費用より、担当者の確保が課題なのですね」と確認すれば、思い込みによるすれ違いを減らせます。

2.論点を整理する・自分も相手も尊重し率直に意見を伝える

事実と意見を分け、目的と判断基準を確認する

議論が広がったら、「今日は導入の時期を決めるということでいいですか」と論点をそろえます。費用、品質、納期など、別々の問題を同時に扱うと、どこで意見が違うのか見えにくくなるからです。

次に、「品質を保ちながら納期に間に合わせる、という目的で合っていますか」と確かめます。目的は共有できていると決めつけず、相手に確認します。もちろん、事実と自分の判断を分けて伝えます。

相手を否定しないで、自分の意見を率直に伝える

意見を述べる際に、自分も相手を尊重しながら、考えや要望を率直に示すことが重要になります。「その考えはおかしい」ではなく、「私は段階的な導入がよいと考えます。現場の負担を確認できるからです」と伝えます。

そして具体的に、「まず一部署で試し、作業時間を記録する案はいかがでしょうか」と提案すれば、検討の材料になります。

3.合意形成をはかり対話を次の行動につなげる

合意事項と未決事項を明確にする

どちらかの案をそのまま採用する以外にも、対象を絞る、項目を追加する、試行するなどの選択肢があります。双方の案を、先に確認した費用や納期などの基準で比べます。代替案がないなら、懸念を伝えるだけでも構いません。

話し合いの最後には、「試行には合意しました。開始日は人員を確認して決めます」と、決まった点と残った点を分けます。担当者と確認期限も共有してください。すぐに一致できない場合は、どの情報があれば判断できるかを確認し、再度話す日時を設けます。曖昧な了承で終えないことが、信頼関係を支えます。

対話後の振り返りとフォローで信頼構築

話し合いで決めた方法が、実際に双方の懸念を解消したかを確認します。例えば、試行後に「作業の負担はどう変わりましたか」「続けるうえで困っている点はありますか」と尋ねます。新たな問題が見つかったら、合意した方法を見直します。

あわせて、自分の伝え方も振り返ります。相手の指摘を受けて判断を変えた場合は、「あの指摘のおかげで、準備不足に気づけました」と具体的に伝えることです。異なる意見が検討に役立ったことを共有すると、次の話し合いでも懸念や提案を出しやすくなります。対話後の働きかけまで続けるなら、信頼感が強まります。

話し方教室・専門家の視点/酒井学院長の一言

意見が違う相手との対話は、背景を聞き、論点を整理し、自分の考えを具体的に伝えることです。合意できない点があれば明確にし、次に確認する情報や行動を決めます。

次の対話では、相手を否定するのではなく、相手に懸念を率直に伝えてみてはいかがでしょうか。

日本コミュニケーション学院 創設者・学院総長 酒井美智雄

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