「意見がぶつかった時どうする?話し方教室直伝・建設的な対話術」(じっくり教養 話し方教室東京)
職場や会議、あるいは家庭であっても、意見がぶつかる瞬間は誰にでも訪れます。対立が起こると「衝突=悪いこと」と考えがちですが、実は異なる考え方が出ることは健全な証拠ともいえます。
大切なのは、その意見の衝突をどう対話で乗り越えるかです。今回は、建設的な対話を進めるためのポイントを解説します。
1. 冷静さを保ち、まずは相手の話をよく聞く
意見がぶつかった時にまず意識すべきは「冷静さ」です。感情的に反応すると、相手との信頼関係を壊し、対話は対立にすり替わってしまいます。
感情を整える
自分の考えを否定されたとき、人はつい声を荒げたり、早口になったりします。しかし、怒りや焦りは説得力を弱める原因です。
そんな時は、まず、「一呼吸おく」「間をつくる」ことです。そうすれば感情を整えることができます。冷静な姿勢こそが、相手の心を開かせる第一歩なのです。
相手の話を傾聴し受け止める
建設的な対話に欠かせないのが「傾聴」です。相手が話している途中で割り込むのは、自分の意見を押し付けているサインになり、さらに衝突を深めます。
相手の言葉を最後まで受け止め、的確に要約して返すことで、相手は「理解されている」と感じ、前向きな議論につながります。
2. 論点を整理して共通点を見出す
意見の食い違いは、実は論点のずれから起こることが多いものです。そのため、意見がぶつかった場面では「何が本当の問題なのか」を整理することが不可欠です。
曖昧な部分・論点を明確にする
「予算が足りない」「効率が悪い」といった漠然とした主張ではなく、「どの部分のコストを削減すべきか」「どの工程が非効率なのか」を明確にすることが重要です。
曖昧な部分が明確になれば、対話は冷静かつ実りある方向へ進みます。
共通のゴールを確認する
意見が対立していても、根本には「成果を上げたい」「組織を良くしたい」といった共通の目的があるはずです。会話の中で「私たちのゴールは○○ですよね」と確認することで、議論が「勝ち負け」から「協力」に変わります。
これは職場だけでなく家庭の会話にも有効で、対話をスムーズに進める力となります。
3. 建設的に自分の意見を伝える
意見がぶつかった時に必要なのは、自分の意見を押し通すことではなく、相手に届く言葉で伝える工夫です。そのためには攻撃的な表現を避け、前向きな言葉を選ぶことが大切です。
「Iメッセージ」で伝える
「あなたは間違っている」ではなく、「私はこう感じる」「私はこう考えている」と主語を自分にすることで、相手を責めずに意見を伝えられます。
これをアイ・メッセージといいますが、これは建設的な対話を促進するシンプルで効果的な技術です。
代替案を提示する
ただ反対するだけでは「否定」で終わってしまいます。「こういう方法もあるのでは?」と代替案を出せば、対話は前進します。意見がぶつかる場面こそ「提案力」が問われるのです。
本学では、「意見+理由+提案」という三点セットを習慣化することを推奨しています。こうすることで議論は前向きになり、双方にとって納得感のある結論へ導けます。
話し方教室の視点/酒井学院総長の一言
意見がぶつかった時に必要なのは、「冷静」「論点整理」「建設的伝え方」という3つの柱です。
衝突とは避けるものではなく、成長や発展のきっかけと捉えることが肝要です。上記のポイント、スキルをぜひ取り入れてください。そうすれば、対立を恐れる必要はなく、むしろ信頼関係を深めるチャンスに変えることができるはずです。
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