「他部署に協力を依頼する話し方|話し方教室が教える”仕事を進める頼み方”の基本」(話し方・あがり症克服 教養講座)

「他部署に資料を頼んでも返事が来ない」「依頼した内容と違うものが届く」。部署を越えて仕事を進めるとき、自分には当たり前の事情が、相手には伝わっていないことがよくあります。丁寧な言葉を使うだけでは、必要な協力を得られない場合も少なくありません。
日本コミュニケーション学院の話し方教室では、「協力依頼とは、仕事の目的と必要な作業を共有し、相手の事情を確かめながら、引き受けられる範囲を相談することである」と定義しています。
今回は、協力してもらえる”依頼”の仕方について解説します。
1.相手目線のコミュニケーションで協力依頼を伝える
依頼事項と目的を具体的に説明する
まず最初に「何をお願いしたいか」を一文で伝えます。「来週の会議についてですが」と経緯から話すより、「会議資料に使う、9月の問い合わせ件数の集計をお願いできますか」と示す方が、相手は依頼の対象をつかめます。
窓口が違う場合は、誰に相談すればよいかを先に確認します。続いて、その情報を何に使うかを説明してください。「問い合わせが増えた商品の対応体制を検討するためです」と目的が分かれば、どの情報が必要かも考えやすくなります。自部署だけの都合を押しつけず、協力すべきは協力するという姿勢が大切です。
相手尊重の伝え方で期限と負担を相談する
「なるべく早く」「簡単な資料でよいです」では、期限も作業量も曖昧です。「木曜の15時までに、商品別の件数を一覧でいただけますか」と、必要な日時と完成形を示します。作業時間は自分の想像で決めつけず、相手に確かめてください。
期限には理由も添えます。「金曜の会議に向け、木曜中に資料をまとめます」と伝えたうえで、対応できるかを尋ねます。難しい場合は、対象を絞る、既存資料を使う、提出を分けるなど、調整できる条件を一緒に探します。
2.論理的話し方・傾聴・質問で依頼内容を調整する
相手の判断の助けになる情報を順序良く伝える
説明は、依頼内容、目的、条件、確認したい点の順に整理すると進めやすくなります。大人数へのプレゼンテーションと同様に、聞き手が判断するために必要な情報を選びます。詳しい経緯は、質問に応じて補足します。
たとえば、「9月の問い合わせ件数を商品別に集計していただけますか。対応体制の検討に使います。既存の表への追記で構いません。木曜15時までの共有は可能でしょうか」。専門用語や部署内の略語は、相手に通じるかどうかを確認する必要があります。
ゴリ押しするより相手が実行できる条件を探す
「今週は難しい」と言われたら、説得を重ねるよりも、理由を聞きます。「集計する時間の確保が難しいのでしょうか。それとも、必要なデータがそろっていないのでしょうか」と、確認する対象を分けると、調整すべき点が見えてきます。
相づちを打ち、説明を最後まで聞いた後、「件数は出せるものの、商品別に分けるには時間がかかるのですね」と要約します。相手の返答を待ち、解釈が合っているかを確かめてください。引き受けてもらうことだけを目標にせず、実行できる条件を探すことも重要です。
3.依頼の合意事項を確認し必ず了承をもらうこと
会議での依頼なら4W(who,what,why,when)を伝える
会議で複数の部署に頼む場合は、誰への依頼か、何を依頼するのか、何のためなのか、いつまでにやって欲しいのかを、明確にする必要があります。オンラインなら、該当する資料や項目を画面で示して説明してください。
もし、説明下手の意識がある人なら、依頼内容と条件を短いメモにしておく方がよいでしょう。
依頼の合意事項を確認し了承の確認を得る
最後に、「私が対象商品を今日中に管理部にお知らせします。そして、対象商品についての件数を管理部でまとめていただく。その期限は木曜15時まで、という進め方でよいでしょうか」と確かめます。依頼しただけで了承されたと考えず、担当、作業範囲、期限について返答を得てください。
合意した内容は、メールや共有資料に残します。途中で対象や期限を変えるときは、追加の負担を確認し、改めて相談します。また、受け取った後は謝意とともに、不足や修正の有無を具体的に伝えます。依頼した側が確認を終えるところまでが責任範囲です。
話し方教室・専門家の視点/酒井学院長の一言
他部署への協力依頼は、目的と作業を具体化し、相手の事情を聞き、実行できる条件を合意することが基本になります。強引さよりも、相手が無理なく引き受けられる条件を見つけることがより重要です。強引さだけでは、次からの依頼を受けてもらえなくなるでしょうから。
次の依頼では、相手目線のコミュニケーションを意識し、「誰に、何を、何のために、いつまでに」を整理した上で、相手と相談しながら進めることにチャレンジしてみてください。
日本コミュニケーション学院 創設者・学院総長 酒井美智雄
■ 記事関連・話し方講座/あがり症克服専門 話し方教室・目的別・話し方講座一覧
■ 話し方教養講座提供/©話し方教室の名門・日本コミュニケーション学院(東京)


