「管理職のファシリテーション大全|話し方教室が教える”会議の生産性を高める”基本」(話し方・あがり症克服 教養講座)


「発言する人がいつも同じ」「話し合ったのに、誰が何をするのか全然決まっていない」。会議を変えるには、管理職が議論の進め方を設計する必要があります。

ファシリテーションとは、参加者から意見を引き出し、論点を整理して、チームが判断し行動できるように話し合いを進めることです。

今回は、日本コミュニケーション学院が企業の管理職研修の場でご指導しているファシリテーションについてご一緒に見ていきましょう。

1.会議の効率は事前準備と会議冒頭で決まる

アジェンダに会議の目的とゴールを明記する

議題に「問い合わせ対応の改善」とだけ書くと、現状の話をしたい人、原因を話したい人、はたまた、対策を決めたい人が同じ席に着いてしまいます。そこで、「複数案の中から対策を一つ選び、それを試します」とゴールを書けば、参加者は判断に必要な材料を持ち寄れます。

アジェンダには、共有・相談・決定のどれを行うかを議題ごとに明記します。全30分なら、現状の共有に5分、意見を出す時間に10分、案の比較に10分、担当と期限の確認に5分。決定に必要な資料は事前に渡し、当日は判断に時間を使います。

司会は会議冒頭で決め方を伝える

管理職が進行役と決裁者を兼ねる場合は、両方の役割を伝えます。「今日は現場で試せる案を集めます。皆さんの意見を聞いたうえで、試す案は私が決めます」と言えば、参加者は自分に何を求められているか分かります。

プレゼンや説明が長くなりやすい議題は、冒頭で「今日決めたいこと」と「判断に必要な前提」を一文ずつ伝えます。人前での話し方に苦手意識がある場合も、この二文を手元に置けば、会議を始めやすくなります。

2.傾聴・受け止め・質問でチームの発言を引き出す

意見が出ない時は、具体的に質問する

「何か意見はありますか」と聞かれても、どこから考えればよいか迷うことがあります。そんな時、「夕方に問い合わせが増えたとき、どの作業で手が止まりますか」と、経験を思い出せる問いに変えてみる必要があります。それでも意見が出なければ、30秒だけメモする時間を取ります。オンライン会議では、チャットに一言ずつ書いてもらう方法もあります。

部下が「引き継ぎが大変です」と答えたら、「どんな情報が足りないときに困りますか」と聞きます。相手の話を受け止め、具体的な場面を聞く。この傾聴の手順が、困りごとを検討課題に変えてくれます。

意見が出た時は、発言を要約し論点を整理する

意見が次々に出てきたら、「発言を整理すると、対応する人が足りないという話と、引き継ぎの情報が足りないという話が出ています」と要約します。そして、「この理解で合っていますか」と発言者に確かめます。要約に管理職の解釈が混ざったとき、その場で修正できるからです。

発言が一人に偏ったときは、「運用の懸念は分かりました。引き継ぎを受ける側からも意見を聞かせてください」とつなぎます。役職の高い人が先に結論を述べると、その案を前提に議論が進みやすいため、進行役自身の意見は、参加者の見方が出そろってから伝えることです。

3.合意形成を進め意思決定・行動につなげる

反対意見を判断基準と実施条件に変える

案を比較する前に、「今週から始められるか」「現場の作業がどれだけ増えるか」といった判断基準をそろえます。例えば、引き継ぎ表を作る案に「入力が増える」と反対意見が出たら、「何項目までなら、いまの業務の中で入力できますか」と聞きます。そうすることで、「入力項目を三つに絞って一週間試す」という実施条件が見えてきます。

基準を満たすか判断できない場合は、何の情報があれば決められるかを明らかにします。「入力にかかる時間を二人が計り、次回に導入を判断する」と決めれば、結論を持ち越しても次の作業は進みます。管理職が最終判断する場では、採用した基準と残った懸念を最後に言葉にします。

決定事項は担当・期限・確認方法を共有する

会議を閉じる前に、「佐藤さんが水曜までに引き継ぎ表の案を作り、木曜から窓口チームで試します。翌週の定例で、入力時間と確認の手戻りを見ます」とメモを読み上げます。

「全員で進める」という決定であっても、最初に手を動かす人と確認日が決まると実行に移せます。そして、議事録では決定事項と保留事項を分け、欠席者にもその日のうちに共有することです。

話し方教室・専門家の視点/酒井学院長の一言

管理職の会議当日のファシリテーションは3ステップ。それは、①冒頭で何を決めるかを示し、②会議中に傾聴と質問で意見を集め、③最後に合意形成をして次の行動を共有する、です。

次の会議では、事前準備のアジェンダに「終了時に何が決まっていればよいか」を一文で書いてみてください。その一文があれば、会議当日に、話が広がったときに戻る先も、会議を終える前に確かめることも明確になりますから。

日本コミュニケーション学院 創設者・学院総長 酒井美智雄

■ 記事関連・話し方講座/あがり症克服専門 話し方教室・目的別・話し方講座一覧

■ 話し方教養講座提供/©話し方教室の名門・日本コミュニケーション学院(東京)