「難しいことを“簡単に話す”には:話し方教室で学ぶ伝わる技術」(1分間 話し方教室東京)
「この人の説明はわかりやすい」と感じる話し方には、いくつかの共通した技術があります。特にビジネスの現場では、専門的で複雑な内容を、いかに平易に伝えられるかが、上司や部下、取引先との信頼関係を左右します。
今回は、難しいことをわかりやすく伝えるための3つのポイントをご紹介します。話し方を変えるだけで、あなたの伝える力が格段にアップします。
1. “抽象”を“具体”にする
抽象的な話は、イメージが湧きづらく、理解に時間がかかります。そこで効果を発揮するのが「たとえ話」です。専門用語や複雑な概念を、相手が知っている物事に置き換えて説明することで、一気に理解度が高まります。
身近な物に置き換えて話す
たとえば、「ビジネスモデルのスケーラビリティ(拡張性)」という言葉を、そのまま説明してもピンとこない人は多いでしょう。
そこで、たとえば、「カフェの経営マニュアルを作れば、何店舗でもカフェを増やせますね。そんな仕組みのことです」とでも言い換えると、身近に感じられるのではないでしょうか。
このように、相手がすでに知っているモノや体験(カフェ、店舗展開)に置き換えることで、聞き手の理解は格段に深まるものです。
数字や事例でリアリティを持たせる
「このツールを使うと業務が効率化します」と言うよりも、「このツールで月20時間の業務削減が実現した」と伝えた方が、説得力が格段に増します。事実や具体的事例は、聞き手の感情にも働きかけ、印象に残る説明となります。
2. 一文一義で論理的に話す
難解な話し方の特徴は、「情報を詰め込みすぎている」ことです。頭の中にある複雑な情報を、整理せずにそのまま話すと、聞き手は理解する前に話を追いきれなくなってしまいます。
一文に一つのメッセージ
たとえば、「今回のプロジェクトは予算が厳しく、人員も足りないので、納期が間に合わない可能性があります」ではなく、「今回のプロジェクトは予算が厳しいです」「また人員も足りません」「その結果、納期が間に合わない可能性があります」と3文に分けることで、ひとつひとつの情報が明確になり、聞き手も理解しやすくなります。
接続詞を的確に使う
「つまり」「たとえば」「しかし」「だからこそ」などの接続詞は、話の展開を整理するのに非常に有効です。接続詞を意識的に的確に使うことで、聞き手は話の流れを自然と追いやすくなり、情報の整理もしやすくなります。
3. 「誰に話すか」を明確にし言葉を選ぶ
伝わる話し方は、内容のわかりやすさだけでなく、「相手に合わせた言葉選び」によって決まります。同じ内容でも、相手の知識や経験、立場によって伝え方は変わるべきです。
相手の理解レベルに合わせる
たとえば、同僚に向けて話す場合と、業界未経験の新人に向けて話す場合では、説明の深さも専門用語の使い方も変える必要があります。「PDCAを回す」と言うより、「目標を立てて行動し、そして行動を振り返る。さらに問題が見つかれば改善していく」と言い換える方が、新人には伝わります。
“たった一人”に語りかける意識
「皆さんに伝えたい」と思うと話は抽象的になりがちです。逆に、「この人に伝えたい」という対象がはっきりすると、言葉も自然と具体的になるものです。プレゼンでもスピーチでも、「聞いてほしいたった一人の顔」を思い浮かべるだけで、格段に分かりやすい伝え方になります。
話し方教室の視点/酒井学院総長の一言
難しい話を簡単に伝えるためのコツは、実は非常にシンプルです。「具体化」「一文一義」「相手目線」——この3つを実践するだけで、あなたの話し方は一段とわかりやすく、説得力を持つようになります。
伝える力は、すべてのビジネススキルの土台と言っても過言ではありません。難しいことを誰にでもわかるように話せる人こそ、信頼されるリーダーの条件です。どうぞ皆さん、頑張ってください。
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