「感情的な相手と冷静に話すには?話し方教室で学ぶ共感と対話の技術」(1分間 話し方教室東京)


感情的な相手と冷静に話すには?

職場や家庭、取引先などで、感情的に話してくる相手とどう向き合えばいいのか——それは多くの人が抱えるコミュニケーション上の悩みでしょう。

「突然怒鳴られた時、どう返せばいいのか分からない」「相手の感情に引きずられて、自分まで言いすぎてしまう」そんな経験がある方は、決して少なくありません。

今回は、感情的な人に対して冷静に、そして建設的に話すための技術を、話し方教室の観点から解説します。

1. 相手の「感情」に反射しない

反射せずに一呼吸置く

相手が感情的になったときに、すぐに言い返すと、対立が深まります。そんな時は「反射せず、一拍置く」ことが基本です。沈黙は、相手の感情の波を受け止めるクッションのような役割を果たします。

この“間”を取ることで、自分自身も冷静さを保ちやすくなり、相手に「落ち着いた人」という印象を与えることができます。

声のトーンを下げる

感情に巻き込まれないもう一つのコツは、話すトーンを落ち着かせることです。高い声・速い口調は相手の怒りを助長する可能性があります。逆に、低めでゆっくりとした話し方は、「安心感」を相手に与え、感情の鎮静化につながります。

声のトーンをマネジメントすることは大切です。

2. 相手の「気持ち」に共感する

まずは感情に共感する

感情的になっている相手に「正論」をぶつけても、火に油を注ぐ結果になりがちです。大切なのは、「その人の感じている気持ち」を一度受け止めること。

たとえば、「それは驚かれますよね」「そんなふうに思うのも無理はありません」「それは大変でしたね」といった共感の言葉を先に添えることで、相手の心理的な緊張が緩み、対話の土台ができます。

「共感のファーストステップ」は、感情的な人との関係改善において非常に重要とされています。

アイ・メッセージで伝える

相手の感情に寄り添いつつ、自分の立場や考えもきちんと伝えたいときは、「アイ・メッセージ(Iメッセージ)」が有効です。

ダメなのが「あなたの言い方がきつすぎます」という言い方。これをIメッセージにすると、「私は少し強く言われたように感じました」

「私は〜と感じた」と主語を自分にすることで、相手に責められているという印象を与えずに、自分の考えを伝えることができるわけです。

3. 感情の背景を「質問」で探る

怒りの言葉の「背景」に着目する

感情的な発言の裏には、たきてい“本当の理由”が隠れています。たとえば、「なんでまだできてないの!」という怒りの背景には、「信頼して任せたのに期待を裏切られた」といった感情が潜んでいる場合があります。

その本質に近づくには、「背景を引き出す質問」が効果的です。たとえば、「何かご不安な点がありましたか?」「どういう経緯でそう感じられたのでしょう?」

といった問いかけで、相手の本音を丁寧に探っていきましょう。感情の背景にある“ニーズ”を理解することができれば、対話の質が一段階深まります。

穏やかな質問で信頼を築く

感情的な相手に対しても、「わかろうとする姿勢」が伝われば、信頼は少しずつ築かれます。

「なるほど。詳しく教えてもらえますか?」「そういうふうに感じた理由を、もしよければ聞かせてください」といった穏やかな質問は、相手の警戒心を和らげ、「この人なら冷静に話せそうだ」と感じさせる効果があります。

話し方教室の視点/酒井学院総長の一言

感情的な相手と冷静に話すには、沈黙・共感・質問といった対話の技術が欠かせません。そして、どれも一朝一夕に身につくものではありませんが、意識と習慣、トレーニングで向上するものでもあります。

大切なのは、「感情に巻き込まれず、自分らしく話すこと」です。相手の心情に寄り添いながら、信頼関係を築ける話し方をぜひあなたも手に入れてください。

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