「クレーム対応で信頼を得る話し方:怒りを鎮める3つのスキル」(1分間 話し方教室東京)

クレーム対応は、ビジネスの現場で避けて通れないコミュニケーション課題です。とくに対面や電話、オンラインでのやり取りでは、「話し方」ひとつで状況が悪化することもあれば、逆に相手の信頼を得る大きなチャンスになることもあります。

今回は、怒っている相手と向き合う「話し方スキル」をご紹介します。どうぞ、クレーム対応を「信頼構築の場」にしてください。

1. 怒りの「感情」を「共感」を持って受け止める

クレーム対応において最も重要なのは、“怒りの感情”にどう向き合うかです。そのためには、怒りの背景にある「不満」や「期待外れの気持ち」に対し、共感の言葉をもって受け止めることが大切になります。

最初のひと言が大切

「大変ご迷惑をおかけしました」
「ご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません」

こうした言葉は、謝罪というより“感情を受け止める姿勢”を示すものです。怒りのピークは初動1分以内に集中すると言われており、その時間内に共感のひと言を伝えるだけで、相手の語気は軟化します。

逆に「それはルールです」「確認しますので少々お待ちください」といった形式的な対応は、火に油を注ぐことになりかねません。

“感情”に共感し“事実”には誠実に対応

「怒っている理由」ではなく、「怒っている気持ち」にまず反応することが重要になります。事実確認はその後で問題ありません。

この順番を意識して、共感表現の練習を繰り返すなら、実際のクレーム対応でも落ち着いて感情を受け止められるようになります。

2. 非言語コミュニケーションを意識する

クレーム対応で使う言葉の内容も大切ですが、それ以上に「どんな態度で、どんな声で、どんなテンポで話すか」が相手の印象に強く影響します。つまり、非言語コミュニケーションを意識することが重要になります。

非言語コミュニケーションとは、例えば、表情・態度であり、声のトーン・話すスピードなどです。

声は「低め・ゆっくり」が基本

声のトーンを少し落とし、落ち着いた速度で話すことで、相手に安心感を与えることができます。高すぎる声や早口は軽薄さや不快を感じさせ、逆効果になりがちです。

怒りのエネルギーにのまれないために、「ゆっくり話す」ことはあまりにも大切です。

「ミラーリング」で距離が縮まる

相手が早口で強い口調のときでも、声の高さや強さは合わせず、テンポだけを少し合わせて返答すると、相手との間に無意識の一体感が生まれることがあります。

これは、“ミラーリング”や“ペーシング”といわれる手法で、心理的距離を縮める効果があると言われています。

3. スピードある行動、責任を持った対応

クレーム対応において、「説明」や「弁解」に終始するのは逆効果です。相手が本当に求めているのは、「納得」と「改善」。そのためには、解決策を提示することがカギです。

スピードある行動で信頼を得る

「ご指摘ありがとうございます。本日中に担当部署に確認のうえ、ご連絡させていただきます」
「〇〇の手配が可能ですので、すぐに対応いたします」

このように、“できること”を明確に伝えることで、相手は「前に進んでいる」と実感できます。「行動の提示は信頼のメッセージ」という考え方は重要です。曖昧な表現を避け、行動を言葉にしてください。

責任を持った対応で信頼アップ

「上司に確認します」「担当に回します」ではなく、「私が責任を持って確認します」「私が対応いたします」など、自分を主語にすることで、責任感が伝わりやすくなります。

こうした“責任を引き受ける言葉”の使い方が、結果として相手の怒りを抑え、信頼へと変えていきます。

話し方教室の視点/酒井学院総長の一言

怒りを鎮めるクレーム対応は、ただ“謝る”のではなく、“信頼を生む話し方”を実践する場でもあります。上記で紹介した「共感・非言語コミュニケーション・スピードと責任感」の3つのスキルをぜひ活用してください。

思うに、ビジネスではクレームは避けられません。しかしながら、それを「信頼構築の場」に転換することは可能です。どうか、クレーム対応を通じて、信頼関係を深めてください。但し、同じ過ちを繰り返してはなりません。これは当然です。

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