「話し方教室が教える会議の準備:会議の議題設定の基本」(1分間 話し方教室東京)


ビジネスの現場で「会議の生産性が低い」「時間ばかりかかって結論が出ない」といった声を耳にすることは少なくありません。実は、その原因の多くは、“会議の準備”にあります。なかでも、議題設定の質に難があることが多いのです。

今回は、会議を有意義なものにするための“事前準備”として欠かせない「議題設定の基本」を解説します。管理職やリーダー、会議のファシリテーターにとって必須のスキルですので、ぜひ習得してください。

1. 会議のゴールを定める

会議がうまくいかない最大の原因は、「何のために集まるのか」が曖昧なまま進行してしまうことです。まずは“なぜこの会議を開くのか”という目的の明確化が、議題設定の第一歩です。

会議の「タイプ」を理解する

まず、会議にはタイプがあります。そこを理解する必要があります。たとえば、情報共有型。これは、業務報告や状況確認といったものです。そして、意思決定型。文字通り何かを決定することです。企画承認や方針決定ならこのタイプです。もう一つ、アイデア・創出型。いろんなアイデアを出し合い、企画や戦略のたたき台にします。

このタイプによって、適切な議題の粗さ・細かさや進行方法も決まります。

会議のゴールを設定する

そして、議題を立てる際は、「この会議で何を決めたいのか」「終了時にどうなっていれば成功か」といったゴールを定めます。

たとえば「販促方針の最終決定」や「次回プロジェクトの候補案を3つ挙げる」など、ゴールが明確であれば、参加者の思考も行動も具体的になります。

2. 議題を「問い」として表現する

「●●について話し合う」「△△の件を確認する」など、あいまいな議題では、参加者の視点や思考がバラバラになってしまいます。議題は、**具体的で、参加者が考えやすい“問いの形”**で設定するのがコツです。

「質問文」で表現する

たとえば「販促について」ではなく、「今月の売上を伸ばすために最も有効な販促施策は何か?」とすることで、議論が深まります。思考を引き出すためには質問形式が有効なのです。

テーマを1つに絞る

議題に複数の要素を詰め込むと、論点が拡散して会議は散漫になってしまいます。そこで「1テーマ」にします。たとえば、「販促と在庫と価格設定について話す」ではなく、「販促に絞って討議する」とテーマを絞ることが重要なのです。

3. 議題を事前に共有する

議題を正しく設定しても、それを事前に共有していなければ意味がありません。つまり、「事前説明と共有」が肝心です。そうすることで、効率的な議論ができます。

議題を選定した背景も伝える

「議題だけ」でなく、「なぜこの議題が重要なのか」「どんな背景があるのか」を共有することが必要です。

たとえば、「売上低下の原因分析を行う」という議題に対して、「直近3か月の売上が10%減少している背景には何があるか」など、前提を伝えることで、参加者の思考が深まります。

資料・論点・事前質問を共有する

会議当日に初めて議題や資料を見るのでは、効率的ではありません。そのため、会議の数日前には資料・論点・事前質問などを共有しておき、参加者が準備できるようにしておきます。

スピーチやプレゼンは準備の質で決まりますが、会議にも同じことが言えるのです。

話し方教室の視点/酒井学院総長の一言

会議の議題設定は、単なる段取りではなく、成果を左右する戦略的な準備作業といえます。会議はファシリテーションスキルだけでは成功しません。「準備の質」があまりにも重要なのです。

準備を丁寧に行うことで、あなたの会議が成果につながる場に変わっていきます。もちろん、すぐには上達しませんが、回を経るごとに、着実に質が向上していきます。ぜひ、チャレンジしてください。

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