「スピーチで聴衆の関心を引く『つかみ』の技術」(1分間 話し方教室東京)


〜話し方教室が教える最初の30秒で差をつけるコツ〜

ビジネスプレゼン、講演会、社内スピーチ——いかなる場面でも「つかみ」の出来が、その後の印象を大きく左右します。スピーチの冒頭30秒で聴衆の心を引きつけられるかどうかが、話し手への信頼や関心度に直結するからです。

今回は、スピーチにおける「つかみ」の効果と、実践的なテクニックをご紹介します。

1. 「問いかけ」で引き込む

質問型で関心を引く

「皆さん、最近こんな経験はありませんか?」という問いかけは、聴衆の関心を引く王道の導入法です。たとえば、営業向けセミナーであれば、「最初の1分で信頼を勝ち取る方法、気になりませんか?」と語りかけることで、参加者の頭の中に“自分ごと”としての意識を芽生えさせます。

このような「Yes」を引き出す質問型オープニングは、聴衆を受け身ではなく能動的な状態にシフトさせる効果があり、スピーチ全体への没入感を高めます。

共感型で関心を引く

「この間、私は○○で困ったんですよねえ」といった“共感ベース”の導入も非常に有効です。ビジネスパーソン向けのスピーチであれば、「会議で、誰も発言せずシーンとした雰囲気、これは気まずいですよね」といったように、日常にあるリアルな場面を共有することで、「自分と同じだ」と感じさせ、聴衆との心理的な距離を縮めることができます。

2. 「意外性」で耳を傾けさせる

意外性のあるデータ・統計を提示する

「実は、スピーチの最初の30秒で聞き手の70%は“聞くかどうか”を判断している——ご存知でしたか?」このような意外性のあるデータを冒頭に提示すると、聴衆の意識が一気に前のめりになります。

特に、普段聞き慣れていない数字や業界の裏話を使うことで、「この話には価値がある」と直感的に感じさせることができます。これを「数字による信頼獲得テクニック」という人もいます。

ギャップある自己紹介で記憶に残す

「元芸人です。でも、今は人材育成の講師をしています。」このようなギャップのある自己紹介は、聴衆の記憶に強く残ります。人は“意外な組み合わせ”に注意を向ける傾向があるため、「この人、ちょっと面白い」と感じてもらえれば、続く話にも耳を傾けてもらいやすくなります。

3. 「ストーリーテリング」で心をつかむ

自分のストーリーを語る

「以前、私は大切なプレゼンで緊張しすぎて、最初の一言が出てこなかったんです」こうした短くてリアルな体験談をストーリーとして語ることは、聴衆の共感と信頼を同時に引き出す力があります。

ですから、「つかみ」として、冒頭に30〜60秒のエピソードトークを組み込むことは上手い方法です。リアルな失敗談や成功体験は、聞き手の感情を動かす導火線となるからです。

他人のストーリーを語る

聴衆が感情移入しやすいのは、「物語」です。たとえば、「ある若手社員が、スピーチの研修を受けて変わった」という第三者視点のストーリーを語ることで、自分にも当てはまりそうな“希望”を感じさせます。このような「他人の成功談」も、自己啓発やビジネス研修の場面で非常に効果的です。

話し方教室の視点/酒井学院総長の一言

“スピーチの「つかみ」は技術で磨ける”

「話し上手な人は、生まれつきの才能がある」と思われがちですが、実際には“話し始めのつかみ”を磨くだけで、スピーチ全体の印象は大きく変わるものです。

今回紹介した「問いかけ」「意外性」「ストーリー」の3つのテクニックは、基本でありながらも、効果絶大です。聞き手の心をグッとつかむ冒頭の30秒。あなたもチャレンジしてみませんか?

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