話し方教室「見逃されやすい、小学生の言語障害」

見逃されやすい言語障害

「スクールズ・ウィーク」によると、イギリスでは、言語障害だと特定されなかった小学生の半分以上へ向けて再調査が行われたという。再調査の結果、言語障害を抱える小学生の特定は、非常に困難であることが分かった。

ロイヤルカレッジ・オブ・スピーチ&ランゲージ・セラピスト(RCSLT)と、子どものコミュニケーションの慈善団体(I CAN)は、今後、重要な言語障害を持つ子どもの半分以上は、なぜその特定がされないのか、という問題を明らかにするため、原因を解明していく方針を示した。

また、I CANの代表者によると、再調査が行われたもう一つの理由は、言葉に問題を抱えている子どもが助けを必要としているにも関わらず、それが見逃されてしまう根本の原因を知るためでもあるという。

さらに、「学校によっては、言語障害の特性を必ずしも理解しているとは限らない場合もあり、障害を抱えた子どもが見逃されてしまう恐れがある。」と注意を呼びかけ、

「小学校入学後、最初の数年間は楽しいかもしれないが、学年が上がるにつれて学校生活がより困難になり、コミュニケーションの問題が増すにつれ、後になってようやく言語障害と特定されるケースもある」と述べた。

さらなる言語障害、コミュニケーション障害調査の必要性

昨年5月のロンドン大学による調査の結果、サリー州では、各学年1クラスに2人の割合で言語障害を抱える小学生がいることが判明した。これは、イギリス全体に当てはめると7.6%の小学生が言語障害を抱えているという計算になる。

しかし、同年の教育省のデータによると、全国の小学生の3%のみが、スピーチ、言語、コミュニケーションに問題を抱えているとし、前者の半分以下の数値を示したのである。

I CANの代表者は、言語障害は自閉症スペクトラム障害の一種であると認識されている、とも付け加えた。また、彼によると、言葉や言語は、全ての学習における基礎だという。

イギリスでは、2008年度に、国内の何百万という子どもが言語やコミュニケーションに問題を抱えていることが報告された。

その調査から10年経とうとしている現在、さらに言語やコミュニケーションが学習面において重要視されている今の世の中で、言語障害を抱える子どもの多くがその症状に気づいてもらえない事実に衝撃を受ける専門家もいる。

いずれにせよ、その原因を解明する必要がある。学校側は、たとえ子どもに言語の問題が見られたとしても、語学療法士やアシスタント教師の不足が原因で対応できないかもしれない。

小学校入学前の子どものに何が起こっているのか。地域と国家レベルで解決していくべき問題なのである。

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