管理職の話し方教室「年上部下との関係を築くコミュニケーションスキル」(1分間 話し方教室東京)
〜信頼と尊重をベースにした話し方アプローチ〜
管理職に昇進した若手社員や、新たな職場に配属された中間管理職が直面する課題の一つに、「年上の部下との関係性づくり」があります。年齢や経験で自分を上回る部下に対して、どのように信頼を築き、スムーズな意思疎通を図るかは、マネジメントの成果を左右する重要な要素です。
今回は、こうした“年齢差がある職場の人間関係”に対して、いかにすれば効果的なコミュニケーションが取れるか、また、年上部下との信頼関係を構築できるか、そのポイントをご紹介します。
1. 敬意をもって接する
年上部下の「経験」を言語化して承認
年上の部下が持つ豊富な経験や知見に対し、リーダーが敬意を持って言語化することは、信頼構築の第一歩です。たとえば、「この業務は◯◯さんの経験に学ぶことがとても多いです」といった具体的な承認は、相手の自尊心を満たし、上司への信頼感を高めます。
この場合「相手の強みを具体的に言語化する」ことが大切です。抽象的な褒め言葉ではなく、相手の実績や考え方をしっかりと見て評価することがポイントです。
指示より「相談」の姿勢で接する
年齢が上の部下に対して、いきなり命令口調で指示を出すと反発を招きやすくなります。そのため、「相談口調」で話しかけることが重要です。
たとえば、「◯◯さんのご意見も伺いたいのですが、この件どうお考えですか?」と尋ねることで、相手を一人の“協力者”として巻き込む姿勢が伝わり、関係性が滑らかになります。
2.かしこまりすぎず、くだけすぎずの言葉選び
「目的」を共有して対話する
部下の年齢に対して気後れする若手管理職がよく陥るのが、「上司らしく振る舞おうとするあまり、硬い言葉や形式ばった伝え方になる」というケースです。
そこで重要になるのが、肩書きではなく「目的ベースの対話」をすることです。たとえば、「このプロジェクトを成功させたいので、ぜひ力を貸してもらえませんか?」というように、共通のゴールに向けた依頼に変えることで、年齢差を超えた対話が生まれます。
言葉遣いは丁寧とフランクの使い分け
丁寧な言葉づかいは重要ですが、過度にかしこまりすぎると壁が生まれます。敬語と適度なフランクさを使い分け、会話に“距離感の調整”を加えることが効果的です。
声のトーンでも距離感は調整できます。例えば、「この間は助かりました!ありがとうございました」といった明るいトーンで表現すれば、無理のないコミュニケーションになるものです。
3. フィードバックを建設的に伝える
指摘するより「対話」で気づいてもらう
年上の部下に改善点を伝える際、一方的な指摘にならないようにすることが肝心です。例えば、「このケースでは、どう対応すればよかったと思いますか?」と相手に考えを促し、自ら気づいてもらう形にします。
このアプローチは、相手に「考える余地」と「尊重されている感覚」を与え、年齢差による摩擦を最小限に抑えます。
過去志向よりも未来志向で
過去の失敗や行動を責めるような言い方は避け、未来を見据えた言い換えにすることも重要です。
たとえば、「今回は少し時間がかかりましたが、次回は事前にこの部分を一緒に確認できると安心ですね」といった言い回しにすることで、相手のモチベーションを下げずに、次の行動につなげることができます。
話し方教室の視点/酒井学院総長の一言
「年上部下との関係構築」は、単なる年齢の問題ではなく、リーダーとしての“伝え方の技術”と、リーダーとしての“姿勢”が問われるテーマだと言えます。
そして、リーダーシップの中核はコミュニケーションスキルにある、とはよく言われることです。
そのコミュニケーションスキル、リーダーになって磨くことももちろん大事ですが、できれば、リーダーになる前から、意識して取り組んでほしいものです。なぜなら、ビジネスではもちろん、プライベートでも大いに役立つ、人生に欠かせないスキルが、コミュニケーションスキルだからです。
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