「部下を責めずに伝える技術:リーダーのための言い換えフレーズ」(1分間 話し方教室東京)
~信頼を壊さず、指摘する話し方の技術~
組織やチームをまとめるリーダーにとって、伝え方は成果に直結する重要なスキルです。特に、部下のミスや改善点を伝える場面では、「相手を責めるような言い方」になってしまうと、モチベーションを下げたり、信頼関係を損なうリスクがあります。
そこで今回は、**「相手を責めない言い換えフレーズ」**について、リーダーがすぐに使える具体例を交えながらご紹介します。
1. 「なぜやっていないの?」ではなく「どうすれば進められそう?」
責める質問から、前向きな質問へ
「なぜやっていないの?」という言葉は、詰問の印象を与えやすく、聞き手は防御的になりがちです。代わりに「どこで止まっている?」「何か助けが必要?」といった、状況把握を目的とした質問に言い換えることで、相手は安心して現状を説明できるようになります。
過去よりも未来志向のフレーズに変換
ミスの原因追及に走るよりも、「今どうなっていて、何があれば前に進めそうか?」という視点で言葉を選ぶことで、前向きな行動を引き出すリーダーシップが発揮されます。いわゆる、“非攻撃的フィードバック”というものが大切です。
2. 「もっとちゃんとやって」ではなく「〇〇してくれると助かる」
“指摘”より“依頼”の形で伝える
「ちゃんとやって!」と言われても、部下は何をどう改善すれば良いのか分かりません。代わりに、「この資料は○○の形式でまとめてくれると助かる」「この件は顧客の要望もあり3日以内に対応してほしい」といった具体的でポジティブな依頼表現に言い換えると、伝わりやすさが格段に上がります。
柔らかな表現で伝えてみる
「やってほしいこと」を依頼として伝えることで、相手は主体性を持って動けます。また、「助かる」「ありがたい」といった言葉を添えることで、関係性を壊さない柔らかな表現に変えることができます。
3. 「なんでそんなことしたの?」ではなく「〇〇の意図でやったのかな?」
批判ではなく、意図を確認する形で
部下の行動に疑問を感じたとき、「なんでこんなことを」と感情的に言ってしまうと、言われた方は防衛反応が強まり、対話が成り立たなくなる恐れがあります。ここでは、「その行動にはこういう意図があったのかな?」と、相手の考えを尊重する言い方に変えることが重要です。
相手の立場に立ってコミュニケートする姿勢で
このフレーズは、一方的な批判ではなく、双方向のコミュニケーションを促します。相手を尊重することで信頼関係の構築に役立つアプローチです。「まず相手の話を聞き、意図を汲み取る」そんな対話姿勢で臨むことが大事です。
話し方教室の視点/酒井学院総長の一言
言葉は相手に大きな影響を与える力を持っています。とくにリーダーの言葉は、チーム全体の雰囲気や成果にも影響します。以下の視点を持つことで、相手を傷つけずに的確に指摘ができるようになります。
①攻撃的表現を避ける:直接的な否定や詰問を避ける
②具体的で前向きな言い換えを意識する:問題よりも、解決に焦点をあてる
③「協力」や「感謝」のニュアンスを含める:依頼ベースの話し方で自主性を促す
信頼を築くリーダーほど、「叱責」よりも「問いかけ」や「共感」を重視しているものです。相手を責めるのではなく、育て、動かす。そのためには言葉選びのセンスが求められると言えるでしょう。相手の心を閉ざさずに伝える技術は、リーダーにとって必須のコミュニケーションスキルになっていることを忘れないでください。
■ 記事関連・話し方講座/話し方教室・目的別・話し方講座一覧
■ 1分間 話し方教室 提供/©話し方教室の名門・日本コミュニケーション学院(東京)/話し方教室コラム・スタッフ委員会/学院総長監修