「曖昧な発言を明確にする質問力:話し方教室が教える“聞き返し”の技術」(1分間 話し方教室東京)
ビジネスや日常の会話の中で、「つまりどういうこと?」「で、どうすればいいの?」と感じる曖昧な発言に出会うことは少なくありません。
上司の指示、部下の報告、同僚との対話——いずれも、あいまいなまま進めてしまうと、誤解やミス、信頼関係の損失につながるリスクがあります。
こうした場面で求められるのが、質問力と聞き返しの技術です。ただ「え?」と聞き返すだけではなく、相手の意図を整理し、言葉を具体化するための質問ができれば、コミュニケーションの質は大きく変わります。
今回は、「曖昧な発言を明確にする質問力」の具体的な方法を解説します。
1. 発言の意図を掘り下げる質問力
発言が曖昧になる背景には、「自分の考えが整理されていない」ケースが考えられます。たとえば、「とりあえず様子を見ようと思います」「あとで対応します」などの言い回しには、行動の根拠や優先順位がはっきりしていないことが多いものです。
判断理由を引き出す質問
部下が「この案はやめたほうがいいと思います」と言ったとき、「そう思った理由を教えてもらえる?」と聞くことで、コストの問題、過去の失敗経験、社内の承認フローの課題 など、判断に至った“根拠”が見えてきます。
感情を丁寧に汲み取る質問
曖昧な表現の裏には、「遠慮」「気遣い」「不安」など、感情的な理由が隠れていることもあります。「そう言った背景には、何か気になることがあるのかな?」と聞き返すことで、相手の本音が自然と表面化しやすくなります。
2. 曖昧な表現を具体化する質問力
「ちゃんと対応します」「できる限り頑張ります」など、あいまいな言葉は解釈が人によって異なるため、トラブルの元になりやすいもの。このとき有効なのが、「たとえば?」「具体的には?」といった具体化を促す質問です。
どうするかを明確にする質問
もし、「丁寧な対応をしたいと思います」と部下が言ったのなら、「“丁寧”というのは、たとえば、どんな対応をイメージしていますか?」と尋ねてみることです。そうすれば、「声のトーンを和らげるとか、メールでの言葉遣いを優しい調子で」などと、中身がクリアになります。
いつ・誰がを明確にする質問
「すぐやります」には、「“すぐ”って、具体的には、今日中のこと?」と聞いてみます。また、「いろんな意見がある」には、「“いろんな”って、誰と誰の意見が違うの?」と返してみることです。そうすることで、認識のズレを防げます。
3. 明確な選択肢を与え真意を聞き取る質問力
発言が抽象的すぎて真意が見えないときは、こちらから選択肢を示す聞き返しが有効になります。
二択で真意を聞き取る質問
「この件、どう進めましょうか?」という問いかけには、「それは、“自分単独でやってみる”感じですか?それとも“誰かに協力してもらう”方向ですか?」と選択肢を提示して聞き返すことで、相手の意図を絞り込みやすくなります。
三択で真意を聞き取る質問
また、相手が「迷っているのですが」と言ったのなら、「それは、納期を優先すべきか、それとも品質重視か、はたまた別のことで迷っているの?」のように焦点を絞る方が、相手は思考を整理しやすくなります。
話し方教室の視点/酒井学院総長の一言
“聞き返す力”は、決して相手を詰問するためのものではありません。曖昧な表現の背後にある「真意」や「背景」「具体的な判断理由」を丁寧に拾い上げることで、互いの理解を深め、信頼を築くためのものなのです。
皆さんも、“質問力”、聞き返しの技術を磨いてください。あなたの対話力をワンランク上げるカギは、まさに「聞き返しの質」にあると言っても過言ではないでしょう。
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