「話し方教室で学ぶ!部下が納得するフィードバック術:行動にフォーカスして伝える」(1分間 話し方教室東京)


「部下にうまく伝わらない」「言ったつもりが伝わっていなかった」――多くの管理職やリーダーが抱えるフィードバックの悩み。

伝えたつもりでも、部下が納得しなければ、改善にはつながりません。

部下が素直に受け止めやすく、行動変容につながるフィードバッとは、どんなものなのか。今回は、部下が納得するフィードバックのコツを解説します。

1. 客観的「事実」を伝える

部下へのフィードバックで陥りやすいのが、感情や主観的評価に偏った伝え方です。

観察した事実・行動に着目

たとえば「やる気がないように見えた」という表現は曖昧で、相手に不信感を与えることがあります。そうではなく、「会議中に発言が一度もなかった」のように、客観的で観察可能な行動に言及することで、納得感が生まれるのです。

フィードバックでは主観的「評価」ではなく客観的「事実」を共有することが基本です。

普段から行動の記録を取る

部下の行動をしっかりフィードバックするには、事前の準備が重要です。記憶に頼るのではなく、普段から**行動の記録(観察メモ)**を残しておくことで、冷静かつ明確なフィードバックが可能になります。

2. 過去志向でなく未来志向で伝える

過去の出来事に終始するよりも、これからどうすればいいかに焦点をあてることで、部下は前向きに受け止めやすくなります。

「次にどうするか」を明示する

たとえば「報告が遅い」と指摘するだけでは不十分です。「次からは15時までにチャットで一報くれると助かる」と具体的な改善行動を提示することで、相手が動きやすくなります。

こうした未来志向のフィードバックが、納得を引き出す鍵になります。

受入れやすいフィードバックのコツ

「良い点」と「改善点」をセットで伝えることで、受け手のモチベーションを下げずにすみます。たとえば、「資料の構成はとても分かりやすかった。あとはプレゼンの声のトーンがもう少し明るくなると、さらに伝わりやすくなる」といった伝え方が、建設的な改善意欲につながります。

3. タイミングと空気づくりに気配りする

どれだけ内容が正しくても、タイミングや伝え方次第で、フィードバックは「批判」として受け取られてしまいます。

フィードバックのタイミング

フィードバックは、「その場で一言」と「後日しっかり時間をとった面談」を併用することが効果的です。

たとえば、ミーティング直後に「今日はお疲れ様。あとで少し話せる?」と軽く声をかけ、翌日や数日後に冷静かつ本質的な改善点を伝える時間を設けることで、相手も落ち着いて話を受け止めやすくなります。

フィードバックの空気づくり

フィードバックの最初に、「〇〇をしてくれたのは助かったよ」「ちゃんと準備していたのが伝わった」など、相手の努力を認める言葉を添えることで、その後の指摘がスムーズに伝わります。これを「信頼関係を守るクッション」と呼ぶ人もいます。

話し方教室の視点/酒井学院総長の一言

部下が納得し、前向きに受け取れるフィードバックには、「事実・行動に着目」「未来志向」「タイミングと空気づくり」が欠かせません。

こうしたスキルはすべて“話し方”に通じるものです。ですから、リーダーは、話し方の技術、コミュニケーションスキルを日々磨いていかなければならないのです。

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