「リーダーとして、部下に言いにくいことを伝えるコミュニケーション技術」(1分間 話し方教室東京)
部下に対して言いにくいことを伝えるのは、どんなリーダーにとっても難しい課題です。しかし、適切に伝えることで、部下の成長を促し、チーム全体のパフォーマンスを向上させることができます。
今回は、部下に言いにくいことを効果的に伝えるための勇気と技術について解説します。
1. 適切なフィードバックの重要性
部下の成長とチームの成果のために
リーダーとして部下にフィードバックを伝えることは、個々の成長を促し、チーム全体の成果を向上させるために欠かせません。フィードバックを避けると、部下が誤った方向に進む可能性が高まり、結果的にチーム全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼします。
たとえば、期限を守らない部下に何も言わなければ、その行動が常態化し、他のメンバーにも悪影響を及ぼしかねません。長期的に見れば、チーム全体の士気や生産性にも大きな影響を与える可能性があります。
さらに、部下が自分の改善点に気づける機会を失ってしまうと、その後のキャリア成長にも悪影響が出ることにもなります。適切なフィードバックは、部下の自己成長のチャンスを作り出す重要な要素です。
信頼関係を深めるために
フィードバックを適切に伝えることは、部下との信頼関係を深める大切な機会です。言いにくいことをしっかり伝えることで、部下は自分が大切にされていると感じ、リーダーへの信頼感が高まります。
これは、チーム全体のコミュニケーションを円滑にし、強い組織を作る基盤となります。
また、言いにくいことを適切に伝えることができるリーダーは、部下からの信頼だけでなく、他のメンバーや上司からの信頼も高まります。結果として、チーム全体がより協力的な環境で働けるようになり、パフォーマンスの向上に繋がります。
2. 言いにくいことを伝える心構え
事実に基づいたフィードバック
感情に流されず、事実に基づいてフィードバックを伝えることが重要です。感情的になってしまうと、相手に防衛反応を引き起こし、メッセージが正しく伝わらなくなる可能性があります。
例えば、「いつも遅刻している」ではなく、「今月に入って3回遅刻がありました」と具体的な事実を示すことで、より明確なメッセージを伝えることができます。
また、事実に基づくフィードバックは、公平性を保つ上でも重要です。個人的な感情に基づく批判は、部下にとって受け入れにくくなりがちですが、事実をもとにしたメッセージは、相手も納得しやすくなります。
適度な感情表現と客観的事実のバランス
フィードバックには感情も重要ですが、それが相手にどのように伝わるかを意識することも大切です。強すぎる感情表現は相手を萎縮させる可能性があり、逆に冷たすぎると信頼を損なう恐れがあります。適度な感情表現と客観的な事実のバランスを意識しましょう。
たとえば、感情が高ぶった状態で話すのではなく、一度冷静になる時間を取り、その後にフィードバックを行うと、より効果的にメッセージを伝えることができます。また、感情を伝える際には、「私は〜と思う」という形で、自分の感情を主体にする表現が有効です。
3.言いにくいことを伝えるコミュニケーション技術
I(アイ)メッセージで伝える
「あなたはいつも」「全然ダメ」などの言葉は避け、I(アイ)メッセージを活用することが効果的です。例えば、「私は、あなたが最近の会議で発言が少ないことを気にしています」というように、自分の感情や観察を軸に伝えると、相手も素直に受け入れやすくなります。
Iメッセージは、相手を責めるのではなく、自分の感情や意見を伝える方法であり、相手が防衛的になりにくいという利点があります。さらに、具体的な例を組み合わせることで、メッセージがより明確になり、相手に行動を促しやすくなります。
建設的フィードバック構造で伝える
フィードバックは批判ではなく、改善を促すためのものです。そのため、具体的な改善案や期待を伝えることが重要です。例えば、「次回は資料を事前に確認して、もう少し自信を持って発表してみてください」と具体的な行動を示すと、相手も行動に移しやすくなります。
また、改善点だけでなく、相手の努力や良い点も同時に伝えると、フィードバックがよりポジティブに受け取られやすくなります。例えば、「最近のプロジェクトでの貢献は素晴らしかったので、さらに良い結果を出せるように、次はもう少し自信を持って取り組んでみましょう」というように、肯定的な要素を含めると効果的です。
効果的なフィードバックは、部下の成長をサポートし、チーム全体の成果を高める大切なスキルです。適切な勇気と技術を身につけて、リーダーシップをさらに強化していきましょう。
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