会社勤めをしていて、ある日突然、会社から退職勧告・リストラをされることがあります。年齢がまだ若いのに退職勧告やリストラされた場合、人はその原因を「人間関係がうまくいかなかった」ことに求めることが少なくありません。

 つい最近もそんな方がいました。彼女はアメリカの有名大学院を卒業し、帰国して日本の企業に就職しました。しかし、1つめの会社で「うちには合わないのでやめて下さい」といわれ、2つめの会社でも試用期間で「うちよりもっといい会社があると思います」といわれて本採用には至りませんでした。

 そこで彼女なりに原因を分析したところ、「雑談が下手で周りの人とうまく人間関係を築けなかったことがやめさせられた原因」ということになり、そこで、会話雑談の練習にと当学院の門をたたかれた次第です。

 専門相談でお会いして状況分析をしました。そして、私は彼女に「やめさせられた原因は雑談下手、人間関係下手ではない」と伝えました。

 理由を述べますと、雇われる側にいるとなかなかわからないものですが、「企業というのは人間関係が下手だからと、それだけで社員をクビにすることはまずない」のです。よほど職場の和をかき乱すとか、不愉快を職場にまきちらすとか、そんなことでもない限り人間関係下手だけでクビになることはありません。

 なぜなら、企業とは収益を目的として仕事をするところです。企業にとって社員が有用か否かの判断基準の第一は、その人が「給料以上の働きをしているかどうか」にあります。ですから、仮に人づきあいが下手な人であっても、その人が給料以上の仕事をしてくれるのなら、居てもらいたいものなのです。この辺のことは雇う側になっていただければただちに理解できるのですが。

 先の彼女の場合、学歴はすばらしい、だからこそ即戦力として期待もされたのでした。ところが実際のところ彼女には、専門分野の知識はあるのですが、指示の受け方や報告の仕方を知らない。電話の対応もうまくなく、クレーム処理の基本もできない。だから企業としては、給料分の働きができていない人と判断し、「辞めてください」と言わざるを得なかった、そう推察できるのです。

 その彼女に私が勧めたプログラムは、「会話雑談」や「人間関係」のコースではなく、当学院グループが企業を対象に実施する「ビジネス・ベイシック・スキル」コースです。そしてこのコースを終えて、彼女は再び就職をしました。新しい会社では、すぐに、いなくてはならない人材として厚遇されるに至っています。このことに一番びっくりしたのが当の彼女自身です。

 女性は職場にうまく適応できない時に、その原因を人間関係に求めがちです。でも、それより前に、「自分は給料以上の働きをしているのか」、その点に思いを巡らせてみることが必要だと私は思います。
 それでは来年まで、Good Job, Good Life!

(C)酒井美智雄