皆さん、こんにちは。夏の疲れが少しでてきた方をお見受けしますが、お元気でいらっしゃいますか?
さて、今回は「あいさつ」について考えてみましょう。明るいあいさつは、された方もした方も気持ちがいいものです。
しかし、「あいさつのできない子供が多い」と随分前からいわれています。そこで私は、その理由を少し考えてみました。そして結局、「あいさつのできない大人が多い」ことに起因すると思うに至りました。
私は過去に都内の幾つかのマンションで生活したことがあります。どのマンションのエレベーターでも朝乗り込む時に「おはようございます」と言ってみるのですが、はっきりと「おはようございます」と返せない大人が、少なくなかったのです。
小声でもボソボソとでも、挨拶を返してくれるのならまだいい方です。ある人は、視線をそらしてうつむいてしまいます。またある人は、完全に無視を決めこみます。何も若い人だけではありません。50歳、60歳くらいの人たちも同様でした。
子供は親の言うことは聞きませんが、親のやることはそのとおりにやるものです。他人に挨拶されても、挨拶を返さない親の子供は、挨拶は返す必要のないものと学習してしまいます。そして挨拶などしなく(できなく)なります。親が挨拶できないから、子供ができない。さらにその子供も同様。この連鎖が挨拶ができない子供を生んでいると思わざるをえないのです。
ここでは、あいさつをする、しないは、皆さんの良識におまかせすることとして、あいさつする人は、けっこう得もしていることをご紹介しておきましょう。
もう随分前になりますが、当時の住まいのそばにあった小さな洋食屋さんによく通っていました。そのお店のマスターが、私に、ある時こんなことを聞かせてくれました。
「この間、向こうの席に座ったお客さんがいたでしょう。その人たちはね、そこのコンビニの人たちだったんだけど、彼らがね、そのお店(コンビニ)に来てくれるお客さんの中で、酒井さんがね、一番、品がいい人って言ってたよ。」
私はマスターとは、お互いに九州大好きということもあり親しかったのですが、コンビニで働く方々とは、普通の、お店とお客の関係でしかありませんでした。ですから、彼らが私のことを誉めてくれることが嬉しいというよりも、意外に思えたのです。
そのコンビニの方たちは、どうしてそんな風に言ってくれたのだろうかと、その夜は考えずにいられませんでした。もし、私にひとつだけ心当たりがあったとすれば、それは、いつも彼らに、あいさつをしていたことです。それ以外は思い当たらないのです。
(次回につづく)
酒 井 美 智 雄
2004年9月01日