皆さん、こんにちは。寒い日が続きます。お元気でしたでしょうか。
さて、「コミュニケーション能力開発に、いつ取り組むべきか」、これが今回のテーマです。
当学院にご入学になる方を見ていますと、「人前で話す必要が生じて、ギリギリになってから、あわてて駆け込んでくる」方がいらっしゃいます。つまり、泥縄式タイプの方です。
一方で、まだ当分(10年以上)は高度な話力を必要とはされないはずなのに、「今の内に、高度な話力を身につけておきたい」といって、早くから、自ら進んで自己投資をされる方も少なくありません。
皆さんはどちらのタイプですか?できましたら、後者のタイプであって欲しいというのが、私の願いです。
私事で恐縮ですが、私は若い頃からずっと企業の幹部教育や能力開発に携わってきました。その業界の常識では、普通、企業の幹部教育などの能力開発は40歳代後半や50代にならなければやらせてもらえません。その年齢にならないと、必要とされる「専門能力」と「コミュニケーション能力(話力)」が身についていないからです。
にもかかわらず、私自身は幸運なことに20歳代で(一般的ケースよりも20年ほど早く)それをやらせてもらっていました。
その理由の一つとして、たまたまとても忙しい会社にいましたので、スタッフが足りなかったことがあるでしょう。でも、実はそれ以上に、その当時から私は同年代の方たちよりも、少しだけ話すことに長けていたことがあげられると思うのです。(決して、自慢話しと取っていただきたくはないのですが・・・。)
そう言うと、「もともと、話す力があったわけだ」と片付けられそうですが、そんなことはありません。なぜなら、スピーチ、講義講演、ディベート能力というものは、後天的能力であり、努力して修得するしかないものだからです。ですから、私の場合は、早い時期から意識的に、独力で、コミュニケーション能力開発に自ら取り組んできていた、というのが真実なのです。
そういった雌伏の時を過ごしておりましたので、当時の上司から「大任だけど、今度の幹部教育の講師を一人でやってくれるか?」と、初めて頼まれた時に、すぐに「はい」と、返事をすることができました。予めの備えがあったからこそ、急な依頼でしたが断らずに引き受けられたのです。
そして、今も時々考えることがあります。その初めての依頼の時に「いいえ、まだ、話すことに自信がありませんので、今回は勘弁してください」と答えていたら、次の依頼は回ってきただろうかと。そして、きっと無かったろうなと、思えるのです。仮に回って来ても、何年もずーっと先になったに違いないのです。
「初めての依頼があった時に、それを引き受けられるだけの準備ができているか」、このことが、その後の人生やビジネスのささやかな成功を支える鍵になっていると私には思えます。
ですから、皆さんには、泥縄式でコミュニケーション開発に取り組むのではなく、予め早い時期に、今すぐにでも始めて欲しいと、私は願わずにいられないのです。
(C)酒井美智雄