世はグルメブーム。グルメのテレビ番組や雑誌は、ホント多いですねえ。
 当学院の「高度話力・専門コース」には、企業の経営者(すでに株式公開をした企業の社長、もう間もなく上場する企業の社長)が多いのですが、彼らの多くも喰いしん坊です。

 このあいだ北陸からお越しになった社長は、「大のB級グルメ」を自負していました。A級グルメが、「高くて、うまい物好き」なら、B級グルメはさしずめ「安くて、うまい物好き」の人達です。

 社長連中は、概して、高くてうまいものは食べ飽きています。ですから、彼らの中には、安くてうまい物に惹かれるB級グルメが少なくないのです。
 その理由は、「高くて、うまい」は当たり前で、あまり感動がないからです。一方で、「安くてうまい」と、その意外さに驚き、嬉しくて、感激してしまうものなのです。

 さて、先の社長さん、カレーライスが大好きで、授業の合間にお店の話しになりました。B級グルメの社長さんですから、以下B社長と記します。

B社長 : 「先生、この辺に、安くて、うまいカレー屋さんは、ありませんかねえ。私は安くてうまいカレーに目がないんですよ。」
私 : 「ああ~、ありますよ。私が大学時代から、もう、かれこれ30年近くも通っているお店ですけどね。」

B社長

「おお、それを、ぜひ、教えてください!」
私 : 「それは、C&Cというお店です。新宿ですと、京王線の改札の手前にあります。ここは立ち食い。あと、西口のヨドバシカメラの近くにもできましたね。」

(そして、翌日)
B社長 : 「先生、夕べ行って来ましたよ、例のカレー屋さん。あれは、すごいですね。感動しました。この一年では、間違いなく一番うまかった!」
私 : 「でしょ!たかだか500円程度で、幸せにさせてくれるあの店は、スゴイですよね~。」

(そんな会話から1週間後、B社長から電話がありました。電話の声は弾んでいました。)
B社長 : 「酒井先生、スピーチ大成功でした!!たくさんの方がスピーチをしたんですが、私が一番堂々としていて、一番うまかったですよ!何人かの方にお褒めもいただきました。本当に、ご指導ありがとうございました!!」



「いえいえ、おめでとうございます!よかったですねえ!よかった!!」

 当然のことながら、私としては、カレー屋さんを紹介して喜んでいただくよりも、スピーチの指導を喜んでいただいた方が何百倍も嬉しいのです。
 そんなこんなで、いつもの一年が明けては暮れ、そしてまた明けていきます。

(C)酒井美智雄